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2017年5月5日(金)

THAAD去れば平和

住民「武器いらない」と横断幕

韓国南部・星州

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 マクワウリ栽培のビニールハウスが広がる韓国南部・星州郡の韶成里。在韓米軍は4月26日、住民の反対を押し切って、この静かな村に最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を強行搬入しました。それでも地元住民は諦めていません。「戦争の武器はいらない」「THAADがなくならなければ平和は来ない」と声を上げ続けています。

 (星州〈韓国南部〉=栗原千鶴 写真も)


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(写真)「サード(THAAD)が去れば平和が来る」と書かれた横断幕を掲げて、配備撤回を求めるデモ行進=3日、韓国南部・星州

 高速鉄道の駅から、配備先のゴルフ場に向かう道路沿いには「武器ではなく平和を」「THAAD配備撤回」と書かれた横断幕やのぼりが、あちこちに掲げられています。米韓両政府が北朝鮮の核・ミサイル実験を理由に、THAADの配備を合意してから約9カ月後、米軍は発射台2基を搬入しました。

 「目の前で運び込まれ、胸が痛みました」。悔しさをにじませ語るのは、星州を聖地としている韓国の宗教、円仏教の教務キム・ソンへさんです。

警官が住民排除

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 米軍はこの日午前3時ごろから搬入を開始しました。異変に気付いた住民が車両10台で道路を封鎖して抵抗しますが、約8000人の警察官が排除、トラックを通過させました。「車に乗っていた米兵が、笑いながら私たちをスマートフォンで撮影していました。見下された気がして本当につらかった」

 専門家によると、韓国からTHAADで北朝鮮のミサイルを迎撃するのは不可能です。またミサイルを追尾するレーダーの届く範囲に中国、ロシアが含まれるため両国は配備に猛反発。外交の軋轢(あつれき)にもなっています。

 キムさんは強調します。「北朝鮮の核問題は、THAADでは解決できません。それどころか周辺国とも関係が悪化した。平和は、武器ではなく、話し合いを通じてつくるもの。両者は誠実な態度を示してほしい」

 韶成里の婦人会長イム・スンブンさん(64)は「韓国政府から住民に対する説明会は一度もない」と憤ります。婦人会で勉強会を重ねるうちに、「韶成里に来てほしくないと思っていたが、戦争の武器は韓国のどこにも置いてはいけないと思うようになった」といいます。

 この地に嫁いで40年、ニンニクやタマネギを栽培する農家を営んできました。収穫で忙しい時期も反対集会に参加してきました。「平和な星州を返してほしい。ただそれだけです」

大統領選で選択

 反対しているのは星州の住民だけではありません。ゴルフ場の北側、約1・5キロに位置する金泉市の老谷里から参加した男性は「THAADを韓国から追い出すまでたたかい続ける」と力を込めます。

 星州郡や金泉市は、弾劾された朴槿恵(パク・クネ)前大統領の地盤である大邱市に隣接し、保守が圧倒的な強さを見せてきました。「今まで、何の疑いもなく保守に票を入れてきたが、彼らが私たちに与えたのはTHAADだけだ。(9日の)大統領選挙では正しい選択をする」と語りました。


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