2017年4月12日(水)
地域医療構想 病床削減 遠のく医療
命の保証どこに
重症化招く危険
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入院ベッド数を全国の1割にあたる15万6千床も削減する計画となった地域医療構想。
自治体病院の割合が全国より高い青森県では、構想策定後の昨年10月に、弘前市内の弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の統廃合が提案され、この6月にも合意書が市議会に提出される見通しです。現行の4分の1にあたる150床程度も削減する計画です。
黒石市の黒石病院や大鰐(おおわに)町立大鰐病院などのベッド削減も示しています。
「住民の、いざという時の命の保証が削られる」と語るのは、青森県民主医療機関連合会の那須稔事務局長。
「統廃合で病院が遠くなり、通いづらくなる高齢者も生まれます。在宅医療で担えと言っても、深刻な医師の人手不足・高齢化のなかで簡単ではありません。むしろ、統廃合の話がすすむなかで弘前市立病院では医師の退職が相次いでいます。ベッド削減ありきの計画はやめるべきです」
一方、厚労省は都道府県に対し、調整会議で10〜12月にも病院名をあげて「具体的な決定」をするよう提起。知事が公的医療機関に空床の削減命令ができる法改悪もしており、ベッド削減の狙いを鮮明にしています。
全国団体からは「ベッドが現状で足りなくなることも考えられる」(全日本病院協会)と懸念が出ています。
各県の構想では、「医療不足が診療活動、特に大幅な入院制限に影響を与えている」(滋賀県・湖北区域)などと、医師不足で空床にせざるをえない実態が示されています。
「医師不足で、…日常的な疾病・外傷等に対処する機能が不足している地域がある」(秋田県)との指摘もあり、ベッド削減で医療がさらに遠のき、重症化につながる危険は明白です。医療体制の拡充こそ求められます。
(松田大地)