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2017年4月7日(金)

きょうの潮流

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 〈朝は白い服を着た少女である/朝は/谷間から/泉から/大空の雲から/野末のささやかな流れから/朽ちた木橋のたもとから/その純白の姿を/風に匂はせながら静かに現れる〉▼大岡信(まこと)さん15歳の作「朝の頌歌(ほめうた)」です。86年の生涯を言葉のなかで生きた感性豊かな詩人は、鋭い知性をもつ批評家としても詩歌の魅力を伝え続けました。朝日新聞に30年近くつづった「折々のうた」は古今東西の歌を親しみ深く▼言葉は長い時間を一瞬にして飛び越え、われわれの心に飛び込んでくるタイムマシン。いつの時代にも人は生活者として生き、愛し、語り、書き、読みということをくり返してきた。人間の生活は複雑多岐であり、必然的に表現もそうであらざるを得ない▼日常を歌うささやかな表現を大事にしてきた詩人は、大げさな言葉よりもつつましく発せられた言葉に人はしばしば深く揺り動かされると。そして、生活を奪う戦争につながる動きを戒めてきました▼マスコミ九条の会発足の集いでは、自詩「前もつて知ることはできぬ『戦争はすべてを手遅れにする』」を朗読しました。〈われわれは前もつて/持つことはできぬ/愛するものの/完璧なイメージを/こなごなに壊されてしまつてから/それらはやうやく/真にわれわれのものになる/いとほしい思ひ出となつて〉▼いま再び日本を戦争する国に戻そうとする権力者の言葉は、偽りに満ち、おごり高ぶっています。しかし私たちは信じたい。大岡さんがつむいできた言葉の力を。


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