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2017年3月7日(火)

きょうの潮流

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 米トランプ政権が計画中のメキシコ国境沿いの壁に限らず、国境や境界線の「分離壁」は世界中にあります。難民の流入を防ごうとする東欧諸国や、パレスチナからの「テロリスト侵入阻止」を理由にするイスラエルがしばしばニュースに登場します▼パレスチナ自治区のヨルダン川西岸に近く、英国の覆面芸術家バンクシー氏が出資し、分離壁が一望できるホテルが開業します。イスラエル兵とパレスチナ青年が枕投げをする絵画、催涙ガスにむせぶ彫像などを展示。分離壁がもたらす大きな犠牲を考えさせます▼韓国と北朝鮮の休戦ライン沿いの金網と鉄条網は、60年以上も南北を隔てている分離壁。来月徴兵される韓国の青年は「小学生の頃、友達と『おとなになるまでに南北統一されるから、軍隊に行かなくてもいいよね』と語り合ったのに」と振り返ります▼一部のイスラム圏諸国からの入国を禁止しようとするトランプ氏の試みも、一種の分離壁。たちが悪いのは、宗教や民族の違いに基づく偏見を隠そうとしないところです▼トランプ氏の政策は、20世紀末に米政治学者のハンチントン氏が論じた「文明の衝突」を思い起こさせます。しかし、政治学者の河合秀和氏は「文明が衝突するわけがない。無知が衝突するのだ。これが戦争を起こす」と警告します▼一たび築かれた分離壁は対立と不信を固定化させます。本当の安全保障は「憎悪と不寛容」ではなく、「尊厳、正義、平等」によって実現される―グテレス国連事務総長の呼び掛けは重い。


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