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2017年1月31日(火)

主張

障害者の尊厳

安心できる共生社会の実現を

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 日本の障害者をめぐる深刻な課題が年初から問われる年となっています。14日には、埼玉県のJR駅で盲導犬を連れた男性がホームから転落して電車にはねられ死亡する事故が起き、26日は、多くの障害者が犠牲になった相模原市の障害者施設での殺傷事件から半年の節目の日でした。障害者の人権や尊厳をどう保障していくのか。障害のあるなしにかかわらず、安心して暮らせる社会をどうつくっていくのか―。障害者施策の拡充へ向けた取り組みをさらに前進させることが求められます。

命失う悲劇繰り返させぬ

 障害者ら46人が殺傷された相模原市の事件から半年、現場には花を手向ける人たちが訪れ、「悲劇を風化させてはならない」などと語りました。容疑者の元職員が“障害者は不幸しか生まない”という趣旨の暴言を繰り返したことは怒りと衝撃を広げ、多くの障害者・家族は、事件を自らのこととして危機感を募らせ声を上げました。“障害者は役に立たない”などとの誤った危険な風潮、差別や排除を助長する考えを絶対に許さず、障害者の命と尊厳を守る取り組みを強めることが必要です。

 昨年は、東京や大阪で視覚障害者がホームから転落し、電車にはねられ死亡する事件も続きました。ホームドア設置の遅れなど障害者が安心して鉄道など公共交通機関を利用できない実態が浮き彫りになりましたが、今年すでに悲劇が繰り返されてしまい、鉄道事業者や行政の姿勢がきびしく問われる事態となっています。

 昨年4月、障害者差別解消法が施行され、障害者や家族、関係者は、障害者の社会参加を促し、障害の有無で分け隔てされない社会への一歩になると期待しましたが、状況は打開されていません。

 日本政府は2014年、国連・障害者権利条約を批准しました。同条約は、障害者の権利と尊厳の促進と、障害のない市民と同様に地域で暮らし、学び、働き、スポーツや余暇を楽しむことなどの権利保障を掲げています。この条約批准にあたり政府は、障害者団体の強い要望に応え、障害者や家族なども参加する審議会を設置、関連法の整備を進めました。なかでも、利用者に重い負担を強いた障害者自立支援法の廃止後の新法に向けて取りまとめた「骨格提言」は、「障害の有無にかかわらず個人として尊重され、真の意味で社会の一員として暮らせる共生社会」をめざすと明記しました。

 ところが政府は、自立支援法の名前を「障害者総合支援法」に変えただけの「新法」にし、負担を強いる「応益負担」の仕組みなどを温存しました。障害者の施設や事業所では、常勤職員の非常勤への置き換えを促進する制度の下、非常勤の比率が大幅に高まるなどして、職員間のコミュニケーションが減り、専門性を培うことが困難な状況に陥っています。関係者の改善・拡充の声に応えず、社会保障改悪をすすめる安倍晋三政権の責任は重大です。

権利条約と憲法を力に

 障害者が安心して暮らせ、輝いて生きていける社会づくり―それは障害者権利条約、個人の尊厳を保障した13条など憲法にもとづく政治・社会を実現することと一体です。安倍政権の改憲の企てを阻むたたかいは、障害者の生活と権利を守るためにも重要です。


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