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2017年1月25日(水)

経済・外交 安倍暴走政治を問う 抜本的な切り替え策示す

衆院本会議 志位委員長の代表質問

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 深刻な現実を覆い隠す政治は許されるのか、経済政策・外交政策はどうあるべきなのか―。24日の衆院本会議の代表質問で、日本共産党の志位和夫委員長は民意を踏みにじる安倍暴走政治を告発し、抜本的な切り替え策を示しました。


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(写真)衆院本会議で代表質問にたつ志位和夫委員長=24日

南スーダンPKO  

すみやかな撤退、戦争法廃止を

 安倍政権は、安保法制=戦争法にもとづいて南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵している自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与しましたが内戦状態が続き、戦闘が繰り返されている南スーダンについて、まともな認識をもっていません。

 志位氏は、3点にわたって首相の認識を追及。南スーダンの深刻な現実に目をつぶり、覆い隠す、極めて無責任な安倍政権の態度を浮き彫りにしました。

 一つ目は、南スーダン政府軍が国連に対する攻撃を繰り返している事実への認識です。

 志位氏は、国連PKOに対する敵対的行為が持続的、組織的、恒常的に繰り返されていることは国連報告書でも指摘されており、「『駆け付け警護』を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に対して武器の使用をすることになり、憲法が禁止する海外での武力行使となる危険性がある」と追及しました。首相は「受け入れ同意は安定的に維持されている」というだけで、まともに答えませんでした。

 二つ目は、国連PKOに参加する陸上自衛隊幹部が、昨年7月の大規模戦闘の状況を記録した日報を「上官に報告したから」という理由で廃棄した問題です。

 「こういう理由で廃棄がまかり通れば、組織にとって都合の悪い文書はすべて闇に葬られ、国民の知る術(すべ)がなくなる」とただした志位氏に、首相は「公文書等の管理に関する関係法令および規則に基づいて取り扱っている」などと開き直りました。

 三つ目は、国連安保理の南スーダン武器輸出禁止決議案に、日本が棄権し、廃案にしたことへの認識です。

 志位氏は「決議案に賛成すれば、日本政府が現地の危機的な状況を自ら認めることになる―これが棄権した理由ではないか」と問い、「自衛隊の派兵を続けるために、大量虐殺の悲劇を抑え込むための国際社会の努力を妨害するとは、理不尽極まりない」と批判。首相は「主要な当事者への制裁は生産的ではないと判断した」と強弁しました。

 志位氏は、自衛隊を速やかに撤退させ、非軍事の民生支援、人道支援に切り替えることを要求。安保法制の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回のために、他の野党、市民と連携する決意を表明しました。

格差と貧困 

「四つの改革」を提案

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 経済政策はどうあるべきか。志位氏は、この20年間で日本の経済社会に生まれた「三つの特徴的な変化」―富裕層への富の集中、中間層の疲弊、貧困層の拡大を、具体的な数値(下図、グラフ)をもとに明らかにし、「格差と貧困をただし、中間層を豊かにすることを国の経済政策の根本に据えるべきではないか」と提起しました。首相は「成長と分配の好循環をつくりあげてきた」とアベノミクスにしがみつく姿勢を繰り返しました。

 志位氏は、日本共産党が提案している四つの改革への切り替えを示しました。

 第一は、富裕層と大企業に応分の負担を求める税金の集め方の改革です。

 日本は「大株主天国」で、株の配当と譲渡に対する税率は20%。欧米主要国の30〜40%と比べても著しく低いのが実態です。財界の経済同友会も「株式等譲渡所得と配当所得への課税を強化」の提言を出しているとして「大株主優遇税制の是正は、日本共産党からいまや財界までも求める税制改革であり、ただちに実行すべきだ」と迫りました。

 第二は、軍事費や不要不急の大型開発にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援などの予算を増やす税金の使い方の改革です。

 志位氏は、自公政権が2000年代になって始めた社会保障費の「自然増」削減額は合計3兆3千億円にのぼり、社会保障費のあらゆる分野で制度改悪の傷痕をつくりだしている一方、大企業を中心に、4兆円もの法人税減税が行われていると告発。「これはあまりにもゆがんだ政治ではないか」と述べ、社会保障費の「自然増」削減路線を中止し、拡充へとかじを切り替えるよう求めました。

 若者自身が借金をしなければ大学に進学できない社会の現実を直視し、月額3万円の給付型奨学金を70万人―学生総数の4人に1人に支給する制度をまず創設し、規模を拡大するよう求めました。

 安倍首相は、志位氏の指摘には一切答えず、「子どもの相対的貧困率は改善した。アベノミクスの効果」と自身に都合のいい数字を並べたてました。

 第三は、8時間働けばふつうに暮らせる社会への改革です。

 この20年間で、労働者派遣法の連続改悪をはじめとする労働法制の規制緩和によって非正規雇用労働の割合は20%から37%へ急増。労働者の全体の賃下げ、労働条件全体の悪化をもたらし、過労死・過労自殺の労災認定件数も激増しています。

 志位氏は、「自民党政治がつくりだした『政治災害』だ」と怒りを込め「本気で格差をなくすというなら、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、派遣法などに『均等待遇』『同一労働同一賃金』の原則を明記すべきだ」と迫り、「残業代ゼロ法案」の撤回を求めました。

 第四は、「大企業と中小企業の格差是正」を中小企業政策の基本にする改革です。

 志位氏は、大企業と中小企業で働く労働者の間で大きな賃金格差が広がっていることを指摘。1999年に改悪された中小企業基本法で「中小企業と大企業との格差是正」の理念が捨て去られ、99年には423万だった小規模事業者が2014年には325万に激減したと実態を示し、「『格差是正』という理念と政策目標を、中小企業政策の基本に据え直す意思はあるか」と追及。「1%の富裕層と大企業のための政治」から「99%の国民のための政治」へと経済政策を切り替えるようもとめました。

対米従属外交  

対等・平等・友好の日米関係へ

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 外交政策はどうあるべきか。志位氏は、安倍政権の異常な米国追随外交の二つの問題点をただしました。

 第一は、核兵器廃絶の問題です。

 昨年12月の国連総会で、核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議が、賛成113カ国という圧倒的多数で採択されました。

 志位氏は、核保有国が核兵器禁止条約を最初は拒否しても国連加盟国の多数が参加して締結されれば、人類史上初めて核兵器が「違法化」され、「核兵器廃絶にむけて世界は新しい段階に入ることになる」と画期的な意義を強調。そのうえで、日本政府が米国の圧力に迎合し、この歴史的決議に「反対票」を投じたのは、「唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき、日本国民の意思を踏みにじる態度ではないか」と厳しく批判しました。

 首相は「この決議は核兵器国と非核兵器国の間の亀裂をいっそう深め、核兵器のない世界をさらに遠のかせてしまう」と答弁し、核兵器禁止条約を求める圧倒的な国際世論に背を向けました。

 第二は、沖縄をはじめとする在日米軍基地の問題です。

 政府は「沖縄の基地負担軽減」と言いながら、東村高江のオスプレイ着陸帯建設を強行し、辺野古に1800メートルの滑走路を2本持ち、強襲揚陸艦も接岸できる最新鋭の巨大基地をつくろうとしています。(上図)

 志位氏は、「沖縄の海兵隊基地を世界への『殴りこみ』の一大拠点として抜本的に強化し固定化する―これが今進められていることの正体だ」と指摘。沖縄で下された一連の選挙での民意をふまえ、「辺野古新基地建設は断念し、普天間基地の無条件撤去を求めて米国と正面から交渉すべきだ」と迫りました。

 さらに、昨年12月のオスプレイ墜落事故で、日本政府が飛行再開と、空中給油の再開にいずれも「理解する」と表明したことに、「沖縄県民や国民の安全よりも『日米同盟』を優先する、主権国家の政府とは言えない恥ずべき態度ではないか」とただしました。

 志位氏は、米国のトランプ新大統領が日本に対する軍事的・財政的負担の強化を求めてくる可能性があると指摘。「『日米同盟第一』という硬直した思考を続けるなら、その矛盾は拡大し、対応不能に陥る」と警鐘を鳴らし、米国追随外交を根本から見直し、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを強く求めました。

憲法・共謀罪

変えるべきは憲法ないがしろの政治

 志位氏は、安倍首相が施政方針演説で「新しい国づくり」の名で憲法改定の必要性を主張したことについて、「『新しい国づくり』にとって、現行憲法のどこが問題で、どう変えなければならないと考えるか」を具体的に提示するようただしました。

 首相は「国民的議論の末に収れんしていくものだ」などとして、自身の考えは述べませんでした。

 さらに志位氏は、自民党改憲案を撤回すべきだと追及。9条2項を削除し「国防軍」創設を明記するとともに「公益及び公の秩序」の名で基本的人権の大幅な制約を可能にするなど、「『憲法によって権力を縛る』という立憲主義を全面的に否定するもの」だと告発し、「変えるべきは憲法をないがしろにした政治ではないか」と迫りました。安倍首相は、この問いには答えませんでした。

 志位氏は、政府が「テロ等準備罪」に名前を変えて今国会に提出を狙う「共謀罪」法案について、「共謀=相談、計画しただけで犯罪に問えるという本質は変わらない」と指摘。

 さらに「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」との政府の口実に対しては、同条約は経済犯罪への対処を目的にしたもので、日本ではすでにテロ防止のための条約を締結し、国内法も整備していると述べ、「共謀罪は、モノ言えぬ監視社会をつくる、現代版の治安維持法だ。提出の企てを直ちに断念すること」を強く求めました。

 安倍首相は「国際組織犯罪防止条約の締結はテロの未然防止のために国際社会と緊密に連携する上で必要不可欠だ」と、志位氏が矛盾を指摘した説明を繰り返しました。


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