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2016年11月26日(土)

きょうの潮流

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 太平洋戦争の末期。敗色濃い時局の中で一本の映画が封切られます。代々の軍人一家を描いた「陸軍」。当時の陸軍省の依頼で、「大東亜戦争3周年記念映画」としてつくられました▼監督は若き木下恵介。軍や国防婦人会、国民学校の全面的な協力のもとで撮影された「国策映画」ですが、最後のシーンで様相は一変します。出征の日。行進する息子を涙ながらに必死に追いかける母親。その姿が延々と▼隊列の中にわが子を見つけ、人垣をかきわけて駆け寄る母。行進しながらほほ笑みかける子。時代の波にあらがうことができない親子の悲痛さがあふれます。のちに木下は「人間の自然の情を描けば、どうしてもこうなるしかないと思った」▼見る者の胸を詰まらせる場面。ところが企画した陸軍から「軍国の母が女々しい」とにらまれ、公開後まもなくお蔵入り。次回作も中止させられた木下は映画界を去る覚悟で疎開先に帰ります▼時は移って、いま武器をもった自衛隊が内戦状態の南スーダンに派遣されています。戦争法による危険な任務を背負って。出発の青森空港で戦地に赴く息子や夫を泣きながら見送る母や妻、父にすがる子。心境を問われた母親は「すごく心配。できれば行ってほしくない」▼ひたすらに家族や愛する人の無事を祈る。人間として当たり前の思いさえ置き去りにして、無謀に突きすすむ時の政権。たしかに光景は過去と重なるかもしれません。しかし歴史は前に。権力の暴走に反対を叫ぶ国民の声は強く大きく。


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