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2016年11月13日(日)

主張

生活保護の見直し

引き下げありきは許されない

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 2018年度からの生活保護費などを見直す議論が厚生労働省の審議会で始まっています。安倍晋三政権は12年末の政権復帰以降、生活保護費削減や制度改悪を次々実行しており、今回も財務省などは「引き下げありき」の姿勢を強めています。大企業のもうけ優先の政策「アベノミクス」のもと、子どもや高齢者をはじめあらゆる世代で貧困と格差の広がりは深刻化するばかりです。生活困窮に追い込まれた人たちにとって「最後の安全網」である生活保護の改悪を推進することは許されません。

「母子加算」再び標的に

 生活保護費(保護基準)の見直しは5年に1度行われます。18年度に向けての議論は、厚労省の社会保障審議会生活保護基準部会で5月に開始され、これから検証と議論を本格化させて17年中に結論をまとめる予定となっています。

 検討課題は、生活費にあてられる生活扶助費水準、子どものいる世帯の扶助費や加算、就労支援強化にともなう控除、地域ごとで支給額が変わる区分の仕組み―など多岐にわたります。厚労省はまだ具体案を示していませんが、生活困窮者支援に取り組む人たちは、「基準部会の議論を保護費引き下げに都合よく利用するのではないか」と懸念の声を上げています。

 安倍政権は生活保護費引き下げへ動きを加速しています。昨年閣議決定した「経済・財政再生計画」や「工程表」で、生活保護「適正化」のため「年齢、世帯類型、地域実態等を踏まえ」「制度全般について予断なく検討」することを強調しています。財務省は10月末の財政制度等審議会に、一人親の生活保護世帯が対象の「母子加算」について「就労に向かうインセンティブが削(そ)がれている」などと指摘した資料を提出しました。母子加算の廃止・縮小へ向け強い圧力をかけていることは明らかです。

 子どもを抱えて働くことが困難な生活困窮の一人親世帯にとって、母子加算は暮らしの「命綱」です。財務省資料では、母子加算受給世帯の親の就業率が低いことを問題視していますが、あまりに実態を無視した意見です。母子家庭の母親の多くはDV被害などで健康を崩し働きたくても仕事に就けないという事実が各種調査で示されています。そんな事情を考慮せずに、母子加算が就業を妨げているかのように主張するのは乱暴です。

 母子加算は07年の第1次安倍政権時代に廃止が強行され、世論の怒りを浴びて復活したものです。子どもや女性の貧困がさらに深刻化する中、再び切り捨てようというのは、血も涙もないやり方です。

 母子加算をはじめ生活保護費などは引き下げでなく、暮らしを支える土台にするための改善・拡充こそが求められています。

「命のとりで」拡充こそ

 12年総選挙で生活保護引き下げを公約に掲げ政権復帰した安倍政権が毎年のように生活保護破壊を進めていることに批判が広がっています。保護費引き下げは、「生存権」を保障した憲法25条に違反すると訴訟が相次ぎ、「命のとりで」を守れと全国ネットワークも結成されました。厚労省の部会委員からも“引き下げありき”のすすめ方に異論が出ています。

 年金、医療、介護の大改悪を許さないたたかいと結んで安倍政権による社会保障破壊をストップさせる国民的共同を強める時です。


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