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2016年10月31日(月)

「残業代ゼロ法案」 裁量労働 営業職に導入

電通の要求だった

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 今国会に提出されている「残業代ゼロ法案」に盛り込まれた「裁量労働制の営業職への導入」が、新入女性社員の過労自殺を起こした電通の要求に応えたものであることが30日までに分かりました。(深山直人)


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(写真)電通本社=東京都内

 「裁量労働制」は、仕事の時間配分などを労働者に委ねる代わりに、いくら働いても労使であらかじめ決めた「みなし労働時間」の賃金さえ払えば済む制度です。「長時間労働の温床」と指摘されています。当初の対象は「専門業務」だけでしたが、2000年に「企画業務」にも拡大されました。

 これについて電通は2002年、人事局の部長が労務管理の専門誌『労務事情』で、「ホワイトカラーのかなりの部分に適用できると思っていたが、実際にかなり限定されたものだ」「当社の営業に適用するのは難しい」と指摘。「営業は広告枠を売るだけでなく、商品開発からお手伝いする総合的なコンサルティング業務」だとして、営業職にも導入できるように「制度改正が求められる」と主張していました。

 こうした営業職は当時、電通東京本社に所属する社員4500人のうち1200人いるとしていました。

 その後、法「改正」は進まなかったため、電通は労働時間を自己申告制にして、まるで裁量労働制であるかのような働かせ方を進めてきました。過労自殺した女性社員の残業時間は月100時間を超えていました。厚労省はこうした働かせ方を見逃し、横行させてきたのです。

 それから10年余をへて国会提出された「残業代ゼロ」法案では、裁量労働制に「課題解決型提案営業」が追加されました。「課題解決型提案営業」とは、電通が主張していた「総合コンサルタント業務」そのものです。

 裁量労働制は、「残業代ゼロ」法案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」(労働時間の規制が外され、残業代が一切払われない制度)と違って年収要件などもなく、20代の社員にも適用することも可能です。

 過労自殺に反省もなく、雇用の規制緩和を求める電通の要求に応えて長時間労働に拍車をかける安倍政権の姿勢が問われています。


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