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2016年10月24日(月)

きょうの潮流

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 ハンパない達成感、モヤモヤとしたものを乗り越えられた、素直にありがとうって言える―。東日本大震災で被災した東北の高校生が富士山の頂に立ったときの感想です。そこにはいつも笑顔で励ます登山家の姿がありました▼世界最高峰のエベレストに女性で初めて登頂した田部井淳子さん。最後の山登りも、被災地の高校生たちとの富士登山でした。「苦しくても、つらくても、一歩一歩、歩きつづけることに意味がある。それを体で感じてほしい」。彼女の思いはたしかに▼女性は家庭にという考え方がまだ根強かった時代。田部井さんは「女子だけで海外遠征を」とクラブをつくり、女性初の7大陸最高峰登頂も果たしました。女性だから母親だからと夢をあきらめませんでした▼なにかをやり遂げるために一番必要なもの。それは本当に行くんだ、本当にやるんだという強い意志。小柄な体を太く貫いた信念です。しかし取材した記者は、気さくで肩の力が抜けた柔らかな印象を▼がんや脳腫瘍を患っても毎週のように山へ。尽きない好奇心、一歩前に踏み出せば周りの風景も変わる魅力。それは山だけでなく生き方にも。豊かな恵みを与えてくれた山を守るための環境保護や、国内外の震災復興応援と活動をひろげてきました▼半世紀の月日を寄り添った夫の政伸さんをはじめ、多くの人たちが彼女の挑戦を支えました。被災者を元気づける登山もその恩返し。山を愛し、山から愛され、人に感謝し、人から感謝された77年の生涯でした。


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