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2016年10月17日(月)

食・労働、生活が危ない

“欧米版TPP” 仏40都市で抗議

カナダと月内調印へ EU各国で行動続く

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(写真)EUと米国、カナダ両政府が進めるFTAに抗議する仏市民ら=15日、パリ(島崎桂撮影)

 【パリ=島崎桂】フランス全土の約40都市で15日、欧州連合(EU)が米国、カナダ両国との締結を目指す二つの自由貿易協定(FTA)への抗議行動が行われました。EUは、カナダとのFTAを月内に調印する予定。両協定がもたらす悪影響を懸念する声は高まる一方で、フランスのほか、欧州各国でも抗議行動が相次いでいます。


 各国市民が抱える最大の懸念は、両協定が定める投資家対国家紛争(ISD)条項です。この条項は環太平洋連携協定(TPP)にもあります。各国の環境規制や安全基準を「障害」とみなす企業が、訴訟を通じて規制の緩和、撤廃を求める権利を認めています。

 パリで行われたデモの参加者は、「企業の横暴を許すな」「民主主義は売り物じゃない」と書かれたプラカードを手に、「多国籍企業に法律をつくらせるな」と唱和。協定交渉の即時停止を求めました。

 参加者の1人、ニコラ・ルコントさん(32)は、「企業が民主主義を超える力を持ち、各国の法律を攻撃することで、食事や労働など生活に関わる全ての分野が市場原理に基づいてつくり変えられてしまう」と懸念を示しました。

 抗議行動は欧州各国でも行われており、先月にはドイツ全土で約32万人、ベルギーの首都ブリュッセルで約1万人が参加しました。

 EUと米国のFTAで“欧米版TPP”といえる環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)をめぐっては、オランド仏大統領が8月に交渉停止を要請。独政府からも「交渉失敗」(ガブリエル副首相)の声が上がるなど停滞が続いています。

 カナダとの間で進む包括的経済・貿易協定(CETA)については、EU、加盟各国ともに推進姿勢を維持。今月18日のEU貿易担当相会合で採決した後、27日の調印を目指しています。

 ただ、ベルギー南部のワロン地域(フランス語圏)議会は批准拒否の動議を可決しており、ベルギーによる批准のめどは立っていません。

 パリのデモでは、多国籍企業がカナダの支社・子会社を通じ、ISD条項を行使して規制緩和を求めるとの懸念が示されたほか、ワロン地域議会を激励する声も上がりました。


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