「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年10月2日(日)

政務活動費不正受給 富山市議会 腐敗の背景は

赤星ゆかり共産党市議団長に聞く

数千枚の資料もとに追及、党に期待

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

写真

(写真)調査してきた政務活動費関連の資料を示して語る赤星ゆかり富山市議=9月30日、富山市

 政務活動費の不正受給問題が底なしの様相をみせる富山市議会(定数40)。1日までに11人の市議が辞職する異常事態になっています。市議会で何が起きているのか、一大政治腐敗の背景は―。市民とともに疑惑を徹底追及し、真相究明、再発防止へと議会を動かしてきた日本共産党市議団(2人)の赤星ゆかり団長に聞きました。(伊藤 幸)


 ―不正受給を認めた富山市議による釈明、辞職会見が連日のように開かれていますね。

 赤星 「長年の慣習で…」「魔が差した」「先輩から教わった」など、あきれる言い訳に市民の怒りが沸騰しています。

「飲み代に使った」

 市議会で最初に辞職した、当時自民党会派の会長だった中川勇元市議は、市政報告会を開いたと偽って架空の印刷代や「茶菓子代」を請求。約695万円も不正受給し、「ほとんどが飲み代だった」との会見に、私も開いた口がふさがりませんでした。

 「税金を何だと思っているんだ、許せない」と、9月14、21両日に行われた市役所前の抗議のスタンディングには合わせて260人の市民が集まりました。

 これまでに自民党9人と、民進党系会派の2人が辞職に追い込まれ、他にも不正を認めている議員がいます。白紙領収書での架空請求、領収書に1桁数字を書き足しての水増し請求、実際は行っていない出張旅費の請求など、会派ぐるみの不正は明らかです。

 ―政務活動費とはどんな性格のお金ですか、共産党はどうしていますか。

 赤星 政務活動費は、議員の調査研究などのために自治体から支給される公金です。富山市議会の場合、会派ごとに1人当たり月15万円が支給され、3人以上の会派にはさらに15万円、10人以上には30万円、20人以上には45万円まで加算されます。

 私たち共産党市議団は、議会ごとに出す市政報告の印刷代や、政策や質問を練るために行う調査、介護問題やまちづくりなどテーマ別の学習会・懇談会などの開催費用、書籍の購入などに活用し、余った分は返還しています。

 6月議会の直後には、他会派の政務活動費に関する収支報告書と支出伝票を情報公開請求しました。入手した数千枚に及ぶ資料を細かくチェックし、おかしいところがあれば、領収書を発行した業者に直接出かけて聞き取りもしました。記者発表や議会で公表・追及し、その数日後に議員が不正を認め議員辞職したこともありました。

怒る市民から激励

 ―連日マスコミの取材を受けていますね。

 赤星 共産党に対する期待をかつてなく感じます。先日うどん屋さんで、私の顔を見るなり「がんばってね、イヤというほど追及して」と言われました。隣のテーブルの親子連れのお母さんにも「会社の関係で頼まれて自民党に投票したこともあったけど、これからは調べて投票しないとだめですね。がんばってください」と激励されました。

“市政チェック”を放棄

質問制限 議論しない与党議員

写真

(写真)市役所前で政務活動費の不正受給に抗議するスタンディング参加者と吉田修市議候補(左端)、(右端から)中山雅之、赤星ゆかりの両市議=9月21日、富山市

 赤星 9月議会では不正追及へ市民との共同で市議会を動かしてきました。

 6月議会で採決した、議員報酬を月10万円引き上げる条例についても、撤回を求める請願の採択を議会で繰り返し求めました。共産党、社民党以外の会派が先送りの姿勢だったので「議会として市民に特別の姿勢を示さなければ、信頼回復はできない」と強く要求しました。議会閉会前日にも全会派を回って撤回の条例案を共同で出そうと呼びかけました。

 9月議会での条例提案とはなりませんでしたが、閉会後に自民党が撤回の条例を12月議会に出すと言ってきました。市民の世論と一体にたたかってきた共同の大きな勝利だったと思います。

 ―なぜ、こんなに不正がはびこるのでしょうか。

質問は1議員 年間90分以内

 赤星 不正の温床には、市議の仕事をまじめにしない、富山市議会の特異な実態があります。

 議会での一般質問を、答弁も含めて1人年間90分以内に制限するという全国でも例のない発言制限の仕組みがあります。共産党市議団は毎議会質問に立ちますが、不正をした議員の中には2016年6月までの3年間に1回しか質問をしていない議員もいます。

 議会中継もない異常な議会でしたが、市民と共産党議員団の繰り返しの要求で、来年3月からついにインターネット中継を始めることになりました。

 ―市政はどんな状況だったのでしょうか。

大型開発には巨費つぎ込む

 赤星 議論をしない与党議員たちによって進められてきたのが、市長の提案には何でも賛成の「オール与党」政治です。住民の声を無視して市中心部の大型開発に莫大(ばくだい)なお金をつぎ込む一方、市民の暮らし、福祉、教育のための予算はきびしく抑制されてきました。コンパクトシティの名で都市部に人口が集中し、周辺部の過疎化を加速させています。

 市政をチェックし、市民の声を議会に届けて市民の暮らし・福祉を充実させるのが議員本来の役割です。その役割を果たさず、特権階級と勘違いして、税金をいかにだましとるかということばかり考えていたのでは、議員バッジをつける資格がないのは当然です。

 ―10月の知事選、県議補選と一体に、30日告示、11月6日投票で市議補選(定数12)がたたかわれますね。

 赤星 共産党は2人以上の候補者を立てる予定で、1人目の吉田修氏(66)を発表しています。2人以上当選させ、私と中山雅之議員の4人以上になれば、議案提出権も得られます。強い権限をもつ百条委員会の設置など、徹底した不正追及とともに、税金の使い方を厳しくチェックし、安倍政権の暴走から市民の暮らし、福祉を守って充実させる豊かな政策を発展させたい。市民と共同で勝利のために力を尽くします。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって