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2016年10月1日(土)

きょうの潮流

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 空前の豊かさを生み出しながら、人間として生きる場では、なぜ貧しくも危なげな社会であるのか。『豊かさとは何か』(岩波新書)を、暉峻淑子(てるおかいつこ)さんが刊行したのは列島がバブルに踊っていた頃でした▼カネとモノがあふれる世に、私たちの暮らしは本当に豊かなのかと問うた経済学者の警鐘は共感をひろげました。奪われた時間、不安定な生活、余裕と思いやりの喪失…。人生を味わうゆとりのない社会は30年近くたった今も変わりません▼表面的な豊かさに日本が浮かれていったのはいつ頃だろうか。社会学者の上野千鶴子さんは「高度成長の成果が国民に届いた60年代後半、日本は大量生産・大量消費の時代に入った」といいます▼経済大国といわれる一方で見失ってきたもの。それを見つめ直す劇が都内で公演されています。小さなレストランを一大飲食店チェーンに成長させたある家族。彼らの視点から社会のひずみを描いた劇団民芸の「篦棒(べらぼう)」です▼お客さんに笑顔になってほしい、従業員は仲間であり家族だ―。その理想と情熱をもうけを追求するなかで失っていく夫。人間らしく生き、周りや社会に誠実であろうとする妻。2人を取り巻く人びとの愛憎が人間らしさとは何かを▼作・演出の中津留章仁(なかつるあきひと)さんは「私たちは、いま一度立ち止まって、豊かな生活=お金という社会の構図を考え直さねばならない段階にきているのではないか」と。樫山文枝さん演じる主人公が口にする「心の消費」が真の豊かさとはを問いかけてきます。


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