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2016年9月30日(金)

全国学力テスト結果

都道府県ごとに公表

文科省 地域差の縮小続く

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 文部科学省は29日、小学6年と中学3年の全員を対象に4月に実施した2016年度全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果を公表しました。都道府県別では、「下位層」の成績が全国平均に近づく傾向が続き、地域間格差が一段と縮小し、一方、知識の「活用力」は依然として課題が残ったとします。


「活用」が課題

 全国の国公私立小中計2万9428校の約207万3000人が、国語と算数・数学の「基礎」知識を問うA問題と「活用力」を試すB問題に解答しました。熊本地震の影響で、4月19日の実施を見送った熊本県の全校と大分、宮崎両県の一部の学校は集計に反映されていません。

 都道府県別の公立校の標準化得点(平均正答数が100となるように標準化した得点)の「上位」と「下位」の各3自治体の平均を比較すると、中学数学Bを除く全ての問題で前年度から差が縮小したといいます。

 文科省は、都道府県別の結果を公表してきました。いま、政令指定都市(20市)別の結果の公表について検討しています。12日の文科省の専門家会議では、指定都市教育委員・教育長協議会の調査結果が報告され、“序列化や過度な競争が懸念される”などとして、8市が「どちらかというと反対」としています。

 今回の結果は、8月25日に公表予定でしたが、委託業者による集計漏れなどのミスが判明。約1カ月延期されました。

説明力不足、浮き彫り

 今回の全国学力テストでは小中学校の国語、算数・数学とも根拠を基に説明する力の不足が改めて浮き彫りになったといいます。特に算数は式の意味を理解して説明する問題の正答率が低く、「活用力」を試すB問題では7%にとどまるものもあったとします。

 正答率が7・0%だったのは、示された図形に関連した「360÷120」という割り算の式の意味を、記述式で説明させる問題。360度の中に120度の角がいくつ入るかなど、三つの要素を記している必要がありました。

 式の意味の理解を見る設問の正答率は、算数の他の記述式問題も15・8%、選択式問題でも62・7%と低調だったといいます。


解説

点数競争 激化の一途

 全国学力テストは2007年に第1次安倍政権のもとで始められました。「調査の目的」について、文部科学省は“全国的な児童生徒の学力の状況を調べる”“指導の改善に役立てる”などとしています。10、12年は抽出方式で、13年に再び全員調査方式になって今年で4年です。

 文科省が都道府県別の結果を公表し、2年前からは教育委員会の判断で学校ごとの結果も公表できるようにされました。全国学力テストは、回を重ねるごとに、点数競争が激化しています。教育委員会や校長が「全国平均より上に」「平均点アップを」と「数値目標」を教育現場に押し付け、過去問題やドリル、類似問題などを繰り返しやらせる事態が広がっています。「点数対策」が横行する状況でテストしても本来の「学力状況」を調べることにはなりません。

 全国学力テストは、結果が分かるのはいつも数カ月後。答案用紙は返却されず、問題ごとにできたかできなかったかの表が示されるだけ。“指導の改善に役立てる”は成り立ちません。学校での通常のテストは、どの子はどこでつまずいているかを教師が把握でき、すぐ次の指導に役立ちます。

 全国学力テストは、国が「学力の内容」を決め、問題をつくり、その結果を競わせるもの。「学力調査」の範囲を超え、子どもに確かな学力をつけるため自主的に創意工夫する自由を、教師から奪うものになっています。

 学校・地域を点数競争に追い込み、本末転倒の事態を招いている全国学力テストは直ちに廃止すべきです。今年度の予算は50億円余。一人ひとりの子どもに目が行き届く教育条件の整備にこそお金をかけるべきです。(教育問題取材班)


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