2016年9月29日(木)
第47期将棋新人王戦 しんぶん赤旗主催
本格派と力戦派 熱い対決
来月3日から決勝三番勝負
将棋の第47期新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負は10月3日(月)から始まります。今期がラストチャンスとなる石田直裕四段(27)と出場棋士中最年少の増田康宏四段(18)という顔ぶれ。初優勝を懸けた熱いたたかいが期待されます。
「有終の美」飾れるか
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石田四段は5回目の出場で決勝進出を果たしました。これまでの新人王戦は3回戦止まり。存分に力を発揮できませんでした。
26歳以下という年齢制限で最後となる今期、3回戦で阿部光瑠六段に勝って波に乗りました。「それまで一度も勝てなかったので自信になった」と振り返ります。
今年度はこれまで15勝6敗(勝率7割1分4厘)の成績。順位戦C級2組も開幕3連勝と好調です。(28日現在)
2014年、若手向けの第4期加古川青流戦で公式戦初優勝を果たしました。「初めての注目される舞台で結果を残せてうれしかった」。チャンスを逃さない強さを見せました。
今度の三番勝負。勝って有終の美を飾りたいのは「当然のこと」としながら、「決勝の舞台を楽しみたい。応援してくださる方に熱戦をお見せできるようにしっかり準備して臨みたい」と話します。
いしだ・なおひろ 1988年12月5日生まれ。北海道名寄市出身。所司和晴七段門下。中央大学工学部卒。2012年10月、四段昇段プロデビュー。
「10代で優勝」に挑む
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中学3年から奨励会三段リーグに参加した増田四段。当時から逸材と高い評価を受け、新人王戦も2度ベスト8入りしています。4回目の出場で、いよいよ決勝の舞台に登場します。
今期印象に残っているのは、準々決勝での西田拓也三段戦。「一度は諦めかけましたが、ここで負けられないと粘って逆転できた」
今年度の成績はこれまで20勝7敗(勝率7割4分)。順位戦C級2組も開幕4連勝と好調です。
三番勝負を制することができれば、2006年の第37期・糸谷哲郎新人王(当時17歳)以来、10年ぶりの10代の新人王となります。
昨年の第5期加古川青流戦では決勝まで進出するも、稲葉聡アマの初優勝を許してしまいました。
「新人王戦は三段のころから上位に勝ち進むことができた、愛着のある棋戦です。一度、優勝を逃したことがあるので、今度は絶対決めたい」と決意を語りました。
ますだ・やすひろ 1997年11月4日生まれ。東京都昭島市出身。森下卓九段門下。2012年4月、三段、14年10月、四段昇段プロデビュー。
渡辺女流初段「見どころ」は
決勝三番勝負の見どころを第1局の観戦記を担当する渡辺弥生女流初段に聞きました。
第47期新人王戦は、今期が最後の参加となる27歳の石田直裕四段と、18歳の増田康宏四段の決勝となりました。両者の対戦成績は1勝1敗。もうひとつの若手の棋戦、加古川青流戦において、石田四段は優勝、増田四段は準優勝の経験があります。番勝負も2度目とあって、浮き足立つようなこともないでしょう。
石田四段はひとつひとつ良い手を積み重ねるタイプの居飛車党の本格派、対する増田四段は腕力が持ち味の居飛車党の力戦派です。両者とも積極的に動いていく攻め将棋で、中盤戦において力を出してきます。中盤のねじり合いで優位に立った方が、そのまま押しきる流れになるのではないでしょうか。
ここ数年、勝率が高いのは増田四段ですが、石田四段も棋戦優勝の実績があり、今期勝率7割を超えています。ここ一番の勝負ではどちらに有利とも言えません。まずはどちらが1局目を勝って流れをつかむか、注目です。
ともに居飛車党 これまでの対局
石田直裕四段、増田康宏四段ともに居飛車党です。プロ入り後の2人の対局はこれまでに2局。1勝1敗の五分となっています。
奨励会三段リーグ戦ではお互いの勝負どころでの対決がありました。両者とも最終日まで四段昇段の目を残した第51回三段リーグ戦(2012年4月〜9月)でのこと。とくに増田には「中学生プロ棋士の誕生か」と注目が集まりました。
その最終日に、石田、増田が直接対決したのです。この正念場の大勝負を制したのが石田で四段昇段を果たし、増田は中学生としてのプロ入りの機会を逃しました。
そんな因縁のある2人の決勝三番勝負。行方が楽しみです。
日程
第1局 10月3日(月)午前10時〜 東京・将棋会館 立会人 田中寅彦九段
第2局 10月11日(火)午前10時〜 同上 立会人 宮田利男八段
第3局 10月17日(月)午前10時〜 同上 立会人 田村康介七段
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