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2016年9月10日(土)

ASEAN首脳会議

南シナ海での領有権問題めぐり

問われた中心性・結束・信頼性

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 9月6日から3日間、ラオスの首都ビエンチャンで開催された第28・29回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と関連会議では、南シナ海での領有権問題をめぐり、ASEANの「中心性」「結束」「信頼性」が大きく問われました。(ビエンチャン=松本眞志 写真も)


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(写真)第28・29回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会談のオープニングセレモニーで、壇上にならんだ各国首脳=6日、ビエンチャン

 今年7月のASEAN外相会議と同様、首脳会議では、中国の南シナ海における主張を否定した常設仲裁裁判所判決がどう扱われるか注目されました。各国首脳はこの問題での意見の相違を考慮し、議長声明で判決にはふれませんでした。

 しかし中国を念頭に「信頼と信用を損ない、緊張を高め、域内の平和と安全、安定を揺るがしている」と指摘し、ASEAN内の「複数の首脳の懸念」を示して国連海洋法を含む国際法による平和的解決を強調。判決には触れずに、実質的に中国に対し厳しい内容を盛り込みました。

分裂回避を

 7日の首脳会議でシンガポールのリー・シェンロン首相は、「南シナ海問題はASEANの結束と信頼性のバロメーターだ」と強調。「結束と信頼性こそがASEANの実際的価値を維持し、世界の諸問題におけるASEANの比重を高めている」と述べ、「意見の相違による分裂は回避しなければならない」と訴えました。

 議長声明の採択は、ASEAN各国首脳が全会一致の原則と結束、地域的枠組みでの「中心性」や「信頼性」を重視した結果でした。

 オバマ米大統領は8日のASEAN米首脳会議で、「判決は拘束力を持つ」と主張し、中国に対し「これを順守すべきだ」と訴えました。

 これに対し、ASEANのレ・ルオン・ミン事務局長は「米中両国ともASEANの重要なパートナーだ」と述べ、「ASEANはどちらの側にも立たない」と慎重な対応を示しました。

中国の態度

 一方中国は、紛争解決のための指針「南シナ海行動宣言(DOC)」への積極的取り組みと、2017年上半期の「同行動規範(COC)」枠組み草案の合意という誓約を余儀なくされています。

 7日に行われたASEAN中国首脳会議では、共同声明で海洋緊急時における「海上衝突回避規範(CUES)」と域内国外交高官間の「ホットライン」開設の指針も確認しました。

 ただ中国は、表向きの「変化」とは裏腹に、いまでも紛争海域での埋め立て工事や人工島の造成、滑走路建設などの挑発的行動のほか、サンゴ礁や海洋生物の生息地破壊などの環境破壊を継続しています。


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