2016年8月16日(火)
激変 新たな前進へ
神奈川 きっかけは市民の“本気”
スタイル一新 幅広く「with」
先の参院選で、日本共産党は市民とともに選挙をたたかい、そのなかで新たな連帯と信頼の絆が広がりました。参院選神奈川選挙区でも、日本共産党の浅賀由香さんは約3万票差で当選できなかったものの、無党派層からの得票は当選した民進党候補に次いで16.7%だったと地元紙が報じました。比例票は自民、民進両党に次ぐ第3党に躍進しました。その強力な推進力となったのは、党員や日本民主青年同盟員と無党派の人たち約160人が共闘したグループ「with(ウィズ)あさか由香」の力でした。「ウィズ」とは、浅賀さんと“いっしょに”という意味です。(神奈川県・下元怜美)
|
開票結果を受けて会見した浅賀さんは、ずらりと並ぶ「with」のメンバーの前に立ち、こう語りました。「今回の選挙戦は、多くの若者が自分のこととして、たたかってくれました。市民と野党の共闘は、希望です」
中心メンバーのひとり、無党派の男性(29)は「高齢者から若者までみんなが共闘できた。withはそれぞれの思いの結集です。まだ諦めていない。頑張りましょう」と呼びかけました。
選挙後の会議では、今後も活動したいとの声が次つぎ上がり、活動を継続する方向で議論がすすんでいます。
きっかけは、市民の“本気”でした。
浅賀さんは、選挙直前、スタイルを一新しました。黒ぶち眼鏡をかけ、紺色のズボンに白色のジャケットをはおる姿は、働く女性の力強さが前面に出されるものでした。
「安倍政権の暴走を止めるため、共産党を躍進させたい」と党県委員会を訪れた無党派の若手デザイナーたちが提案したものです。
青年らは安保法制(戦争法)やヘイトスピーチ(差別扇動行為)などの問題で民主主義を守ろうと立ち上がり、そのなかで共産党に出合いました。地域の共産党員や後援会員とも交流を重ね、信頼を寄せたといいます。
その上に、戦争法廃止の野党共闘をすすめた共産党への確信がありました。「野党共闘は、共産党がいてこそ。共産党に伸びてもらわなきゃ困る。そのために、浅賀さんを勝たせたい」
すでに掲示・配布していたポスターや宣伝物とはまったく違う姿にとまどう声もありましたが、党県委員会は、無党派の人たちの熱意にこたえようと決めました。
誰でも参加できる選挙に
候補者名や政策… 伝わる工夫練り上げて
|
勝手連「withあさか由香」では、参加する無党派の人たちから「党の宣伝には加わりにくい」「どうやって浅賀さんを応援したらいいのかわからない」との意見がだされました。幅広い人が参加できる選挙戦にすることを心がけました。
水色とピンク色を基調にした独自の宣伝物はそのひとつです。
「選挙にいこう go vote 7・10」のプラカードや小旗、「最低賃金時給1500円」「安保法制は廃止に」「原発即時ゼロ」「学費は10年計画で半額に」などの政策プラカードはだれでも参加できる選挙の形をつくりました。
「入りやすかった」
川崎市の宣伝では「本当は演説を聞きに来ただけだったんだけど、ポップで入りやすかった」と飛び入り参加する夫婦もいました。
デザインを統一し、政策を前面に押し出したことは、候補者名を掲げることが制限される選挙本番でも生きました。
6月13日から平日連夜行った「お帰りなさい宣伝」では、政策プラカードとともに浅賀さんの訴え「8時間働けばふつうに暮らせる社会へ」の横断幕とノボリを掲げました。「時給1500円だって」「お前、今日何時間働いてきた?」など帰宅する労働者の注目を集め、対話につながりました。
また、インターネットを活用した応援の呼びかけも積極的に行いました。
ツイッターでは、「with」で行う宣伝だけでなく、各地区での全戸配布などの集中行動日も知らせました。この呼びかけには少なくない市民がこたえ、その後、連日手伝いに来る人もいました。
公示日からはインターネットのツイッターを中心に「#私はあさか由香に投票します」のキャンペーンを開始。「3児の母として私はただ “平和” を選ぶ。」などのコメントを添えて、県内の学生やママ、労働者、党員などが写真で登場しました。
ツイッター利用者は、「私は母ではないですが私も平和を選びます」「センスのいいポスターで目を引くと同時に政策や理念も伝わって、とても良い試みだと思う。どの候補者もこれくらい工夫すればいいのに。」などの言葉を添えてリツイート。第1弾は800人以上がリツイートし、13万回以上閲覧されました。
共産党の選挙事務所の電話を活用し、電話での対話・支持拡大にも踏み出しました。
選挙直前の電話かけでは、対話になった家のすべてで、浅賀さんの名前が知られていなかったことが分かり、無名の新人がたたかうことの困難さが浮き彫りに。参加者は、その場で意見交換し「“共産党の浅賀由香”で押し出さないとダメだね」と意思統一しました。
インターネットの効果は海外在住者にまでひろがりました。モルディブでダイビングインストラクターをしている女性は、初投票をしようと一時帰国し、選挙事務所にも訪問。母親とともに電話かけに初挑戦しました。
投票日前日には60人以上が選挙事務所に集まりました。電話の数が足りず、党県委員会の電話を使用してもらうほどでした。
「後悔したくない」
|
この新しい選挙戦は、「with」メンバーそれぞれの踏み出しにもつながりました。
「with」のLINEグループでは「昔の仲間に」「ママたちに」と支持を依頼したとの投稿が飛び交いました。
若い党員も「由香さんを支える無限大のチカラを感じたから、脱皮できました」と、近所で共産党を名乗って会話し、友人にも選挙の話ができたと明かしました。
投票日には、知り合いへの棄権防止活動の状況が自然と交流されました。呼びかけが無視されることもありましたが「めげずに頑張ります」「言える人には言いたい。後悔したくない」と最後まで奮闘しました。
投票日の夜、会見場になった党県委員会の会議室は、「with」がプラカードなどで飾り付けました。野党統一候補が勝つたび、DJブースから音楽が流れ、喜びました。