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2016年8月2日(火)

きょうの潮流

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 飛行機に乗せてやると誘われた15歳の少年は、1年で故郷の北海道に帰ってくるつもりでした。なだめすかされ、その後22年間。まわしを締めつづけた小柄な力士は、一時代を築く大横綱に成長しました▼肩の脱臼癖を克服するために鍛え抜いた筋骨隆々の肉体。気迫ほとばしる鋭い眼光。そして速攻相撲。千代の富士を語るとき、多くの人が同じことを口にします。それだけ強烈な印象を与えた力士でした▼けがに泣かされ自暴自棄になり、親方から諭され、もう一度真剣にとりくもうと決意した若い頃。軽量で苦しんでいたときに尊敬する大関貴ノ花から禁煙を勧められ、すっぱりやめたことも。気の強い性格ながら、周りの助言に耳を傾ける素直さもありました▼「体力の限界。気力もなくなり…」。万感胸に迫り詰まったあの引退会見はひたすらけいこに励み、懸命に土俵を務めてきた責任感の裏返しのようでした▼昨年62歳で亡くなった北の湖につづく、61歳の早すぎる死。ある調査によれば、1980年から2002年までに亡くなった幕内経験力士100人の平均年齢は63歳余。一般と比べてかなり短命です。引退後を含め、体のケアは角界の課題でしょう▼25年も前に引退した千代の富士の相撲は今も現役力士に勇気を。同じ小兵横綱の日馬富士はDVDで見ながら参考にしているといいます。強さだけでなく、体格のハンディや度重なるけがを闘志とけいこで乗り越えてきた小さな大横綱。「ウルフ」の真骨頂がそこにありました。


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