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2016年7月17日(日)

主張

改憲策動の始動

憲法壊す自民案土台にできぬ

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 安倍晋三首相が自公など改憲勢力で3分の2の議席を目指すとした参院選が終わり、首相が目標の任期中の改憲に向け、国会の憲法審査会での改憲の発議案の検討を始めようとしています。見過ごせないのは安倍首相がさっそく自民党の改憲案が「ベース」(土台)になると言い出したことです。安倍首相は選挙中、改憲の中身について全く語っていません。選挙が終わった途端、自民党の改憲案がベースだなどというのは国民の審判に反するものです。改憲問題にどういう態度をとるかは東京都知事選でも大争点になっており、自民党改憲案の強行など許されません。

選挙中は改憲案語らず

 安倍首相は参院選中、憲法改正は、国会で3分の2以上の議員の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成で決める、今はまだ憲法のどこを改正するか固まっていないから、参院選の争点にはせず、選挙後、国会の憲法審査会で検討するといい続けてきました。選挙中の街頭演説では一度も憲法改正に触れたことはありません。

 これ自体、国会で憲法改正を発議することと、その国会で憲法改正について検討する国会議員を選ぶ選挙とをすり替えた詭弁(きべん)で、改憲の発議案づくりで国民に白紙委任を迫るに等しい、不当なものです。しかも選挙では改憲の中身について全く語っていないのですから、選挙結果から改憲が支持されたとか、自民党の改憲案がベースだなどという結論が出てくる余地がまったくないのは明らかです。

 選挙中、日本共産党などが厳しく批判したように、自民党の改憲案(「日本国憲法改正草案」)は、憲法の国民主権や平和主義、基本的人権の尊重といった原則そのものを破壊するもので、憲法改正の発議案のベースになるどころか、「改正案」と呼ぶことさえ、はばかられるものです。憲法学者の間では、憲法改正はあくまで現行憲法の原則を踏まえたものであるべきで、原則そのものを破壊するものは改正とは言えないという「改正の限界」論が通説です。クーデターを起こしたわけでもないのに国民主権など憲法の大原則を変えてしまうのは、憲法で権力の在り方を定める立憲主義の最悪の破壊になるのは明らかだからです。

 自民党の改憲案はまず「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という現行憲法の前文そのものを削除します。国民主権と恒久平和主義の否定です。そのうえで憲法9条の戦力不保持を削除して「国防軍」を置くことや、国民の権利は「公益及び公の秩序に反してはならない」と、基本的人権を制限することを明記しています。現行憲法の最高法規の章の冒頭に掲げられた第97条「基本的人権は…侵すことのできない永久の権利」も全面削除です。憲法原則を軒並み破壊しているのは明らかです。

首相の国民無視許さず

 改憲に反対する国民の声は広がっています。国民の意思を確かめることもなく改憲を押し付けるうえ、憲法原則破壊の自民党改憲案を「ベース」にするなどというのは国民の意思を二重三重に踏みにじるものです。安倍政権の改憲の動きは絶対に容認できず、東京都知事選でも、憲法を守り生かすために力を尽くすことが重要です。


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