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2016年6月29日(水)

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インフラ輸出の資金どう捻出?

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 安倍晋三首相はインフラ輸出のために今後2000億ドル(約20兆円)を投じるといっています。その資金はどこから出てくるのですか。(読者)

政府系機関が資金供給

 2000億ドルは、安倍政権が5月に発表した「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」で示された数字です。

 日本企業が鉄道や発電所などのインフラ施設を海外に輸出する際、政府系機関が資金を供給したり、保険を引き受けたりします。安倍政権は、政府系機関が今後5年間に供給する資金に民間資金も加え、目標を達成するとしています(対象の政府系機関は国際協力機構=JICA、国際協力銀行=JBIC、日本貿易保険=NEXI、石油天然ガス・金属鉱物資源機構=JOGMEC、海外交通・都市開発事業支援機構=JOIN、海外通信・放送・郵便事業支援機構=JICTの六つ)。

 例えば、日本が融資するインドネシア・バタンの石炭火力発電所建設事業には、JBICが20・5億ドル、民間銀行が13・7億ドルを拠出することになっています。この場合、合計額34・2億ドルが2000億ドルの目標に対する実績になります。

 民間銀行の融資にNEXIの保険がついた場合は、保険でカバーされる融資額が実績になります。仮に10億ドルの融資の9割に保険が適用されれば、9億ドルが実績になります。

 政府は目標の内訳を示していませんが、内閣官房によると政府系機関の過去5年間の実績は約10兆円。目標の半分程度です(JICA5兆円、JBIC4兆円、NEXI1・5兆円、JOGMEC1兆円、重複1・5兆円。設立から日が浅いJOINとJICTは実績なし)。

 6機関のうちJICA、JBIC、NEXI、JOGMECは政府が100%出資し、JOINとJICTも、株式の2分の1以上を政府が保有することが義務付けられています。

 資金供給を増やすため、安倍政権は、審査期間の短縮や高リスク案件への投融資を可能にする制度変更を進めています。乱暴な審査で危険な案件に投融資し、資金が焦げ付けば、そのつけは国民に回ってきます。

 インドネシア・バタン石炭火発では、深刻な人権侵害や環境破壊に対する訴えが現地住民から日本政府に寄せられています。強引な投融資拡大は、こうした問題を広げる危険性があります。

(2016・6・29)


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