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2016年6月24日(金)

党首討論

崩れた首相の言い分 対決点はっきり

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 参院選の公示日を前後して与野党党首による討論がテレビやインターネット番組、記者クラブ主催などで相次いで行われました。一連の党首討論では、「自民・公明・補完勢力」対「4野党と市民の共闘」の対決構図や、安倍暴走に正面から対決する日本共産党の立場、野党共闘の正当性などが浮き彫りとなりました。


写真

(写真)日本記者クラブ主催の党首討論、右から3人目は志位和夫委員長=21日、東京都千代田区

何が争点か

“アベノミクス一本”通用せず

安倍暴走政治の全体が問われる

 参院選の争点について安倍晋三首相は「アベノミクスの前進か後退かを選択する選挙」だと述べました。

 安倍首相は3年前の参院選でも2年前の総選挙でも「アベノミクス一本」でたたかい、多数の議席を得ました。しかし、選挙後にやったのは、秘密保護法と安保法制=戦争法の強行という憲法を破壊する政治でした。

 志位氏は「こんなことを3度も繰り返させるわけにいかない」と強調。戦争法と安倍改憲、環太平洋連携協定(TPP)、沖縄米軍基地問題などをあげ、「民意にそむく『安倍暴走政治』の全体が問われる。その全体にノーの審判を下し、チェンジの意思を突きつける選挙にしていきたい」と表明しました。

アベノミクス

「成果」の数字 「過大広告」

三つのチェンジで暮らし応援こそ

 安倍首相が最大の争点にすえるアベノミクスの破綻が浮き彫りになりました。

 首相は「国・地方合わせて21兆円の税収増」と誇り、「この政策を前に進めるのか、4年前の低迷した時代に逆戻りするのか」と強調しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、安倍首相がいう「4年前の暗い時代」は、2008年の世界経済危機と11年の東日本大震災で税収が落ち込んだ時期だと指摘。「あのトヨタでさえ法人税を1円も納めていなかった時期です。そうした巨大な外的要因を全く考慮せず、数字だけを比較するやり方がフェアな政策論争といえるでしょうか」と指摘し、首相の偽りを明らかにしました。

 主催者側からも「21兆円は、志位さんがおっしゃったように、最も日本経済が谷底だった12年の数字」「アベノミクスが全ての果実を生みだしたという宣伝は過大広告。あまりにおとなげない」と批判が上がりました。

 志位氏はさらに「21兆円の中には(税率5%から8%への)8兆円の消費税増税分が入っている」と指摘。安倍首相も「確かに8兆円は消費税を上げた分」と認めました。

 首相が「有効求人倍率は24年ぶりの高水準。47都道府県全てで1倍超を達成した」という「雇用改善」についても、志位氏は「正社員の有効求人倍率は0・85倍。1倍を超えているのはたった8都県」と批判。その実態は不安定・低賃金の非正規雇用の増加だと明らかにしました。

 志位氏は「安倍首相はいろんな数字をあげるが、二つの大事な数字を言わない」と指摘しました。一つは実質賃金が5年連続マイナスとなり1990年の統計開始以降最悪になったこと、もう一つは日本経済の6割を占める個人消費が戦後初めて14、15年度と2年連続マイナスになったことです。

 志位氏は「(首相は)大企業がもうけを上げればいずれは家計に回ってくると言い続けてきたが、待てども待てども回ってこない」と批判。その上で(1)税金の集め方(2)税金の使い方(3)働き方―の「三つのチェンジ」を提案し、「アベノミクスはもうやめて、格差をただし、経済に民主主義を確立する」と表明しました。

 社民党の吉田忠智党首は「アベノミクスではなくボトムアップの経済政策を」、民進党の岡田克也代表も「経済政策の転換をしなければいけない」とアベノミクスの転換を求めました。

社会保障

消費税延期を口実に先送り

「三つの税逃れ」ただせば財源つくれる

 消費税10%増税延期を口実に公約した社会保障充実を先送りにする政府・与党と、「三つの税逃れ」をただして社会保障の充実を迫る日本共産党―。社会保障をめぐる対決構図も鮮明になりました。

 公約していた低年金者への給付金について安倍首相は、増税延期を理由に「今すぐできるという状況ではありません」と発言。年金受給資格の25年から10年への期間短縮も「前向きに検討していきたい」と述べるだけで実施を明言しません。公明党の山口那津男代表も「税収が得られたときと同じことが完全にできると今からいえない」と同調しました。

 志位氏は「失政の責任を認め、消費税10%への引き上げは先送り実施ではなく、きっぱり断念すべきだ」と主張。「社会保障財源を消費税に求めるやり方から決別して、『三つの税逃れ』をただそうと提唱している」として、法人税の実質負担率が中小企業より低い「大企業の税逃れ」、株取引など優遇税制による「富裕層の税逃れ」、「タックスヘイブン(租税回避地)を利用した税逃れ」―をただせば約20兆円の財源をつくり出せることを紹介しました。

 安倍首相は「志位さんは企業を目の敵にしている」とすり替えましたが、志位氏は「大企業に社会的責任を果たさせる、社会的負担を負わせるといっている。大企業をつぶすとか、目の敵にしているとか、レッテル貼りはやめていただきたい」と反論しました。

 志位氏は、消費税率を5%から8%に引き上げておいて、安倍政権が行ったのは1兆3200億円の社会保障費の「自然増」削減だと強調。年金給付削減や介護報酬引き下げ、医療費の窓口負担が増やされたとし「社会保障のためといって増税しておいて、国家的詐欺に等しいやり方だ」と批判しました。

戦争法

「日米の絆強くした」どころか

殺し殺される「血の同盟」に

 安倍政権が昨年秋に強行した立憲主義破壊の安保法制=戦争法。安倍首相は「お互いに日本を守るために助け合う同盟はその絆を強くした」と述べ、公明・山口代表は「日本の抑止力を高めて、さらに国際社会に貢献する制度をつくった」などと強弁しました。

 これに対し、志位氏は、戦争法が認めた集団的自衛権の行使とは、日本に攻撃していない国に、日本の側から武力行使することにほかならないと指摘。「アメリカのベトナム戦争、イラク戦争のような無法な戦争に日本の若者を駆り立てることになる」と述べ、憲法違反の戦争法は廃止するしかないときっぱり主張しました。

 さらに志位氏は、安倍首相が著書『この国を守る決意』で「軍事同盟というのは“血の同盟”です」「今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない」と述べていることをあげ、「安倍さんは、この言葉通りに憲法解釈を変え、安保法制で集団的自衛権の行使を可能にした」「安倍さんは『日米同盟は希望の同盟』というが、安保法制によって『血の同盟』になったということか」と追及しました。

 安倍首相は、こうした志位氏の質問に正面から答えられず、「共産党は、自衛隊は違憲だというのに、災害出動はさせる、急迫不正の侵害では命をかけろ、というのはおかしい」などと、論点をそらして攻撃するのが精いっぱいでした。

 志位氏は「いま、問われているのは自衛隊をなくすかどうかじゃない。『専守防衛』の志をもってきた自衛官、被災地でがんばっている自衛官、これを『殺し、殺される』戦場に投入していいのかどうかが問われている。これはダメだということで野党は結束している」と反論しました。

 自衛隊について志位氏は「自衛隊は憲法違反の組織だと考えますが、この問題を解決するには、将来の展望として、国民の合意で段階的に自衛隊の解消をはかっていくことを提唱しています」と強調。「矛盾をつくったのは自民党政治ですが、その矛盾を私たちは引き受けて、9条の全面実施という方向で、国民合意で変えていこうといっています。これが共産党の立場です」と述べました。

 戦争法について、民進・岡田代表は「憲法に違反している疑いが濃い」と指摘。社民・吉田党首も「平和国家としての在り方を百八十度変えるものだ」と批判し、廃止を求めました。

憲法

争点化回避に躍起

9条改定の狙いくっきり

 改憲問題について安倍首相は「今の段階で、どこをどう変えるかを集約していないので参院選挙で問いようがない」などと述べ、争点隠しに躍起です。公明・山口代表も「国会での議論が成熟していない。ですから、今回の選挙では争点にならない」と、選挙期間中はダンマリを決め込む構えを示しました。

 これに対し、志位氏は「自民党改憲案を許していいかどうかは、今度の選挙の大争点です。ぜひ改憲ストップの審判を下していきたい」と強調しました。

 一方、首相は「次の国会から憲法審査会を動かしていきたい」と発言。ただ、「憲法審査会でどの条文をどう変えていくか議論をする」と述べるだけで、どの条文を対象に改憲を狙うのかはあいまいにしようとしました。

 これに対し、志位氏は、首相が「お示ししている」と述べる自民党改憲草案には、戦力不保持を定めた9条2項を全面削除して「国防軍」を創設することや、集団的自衛権でも、海外派兵でもまったく無制限にやれる中身が入っていると指摘。「9条に手をつけないといえるのか」と追及しました。ところが、首相は「憲法審査会で議論していただきたい」というだけで「手をつけない」とは最後まで明言しませんでした。

 さらに、志位氏は、山口代表が“安保法制を通したのだから、9条改正は必要ない”との立場を示したことをあげ、「(首相も)同じ立場ですか」と追及。これに対しても、首相は「憲法審査会でしっかり議論していきましょう」と述べるだけで、9条改憲を否定しませんでした。

 志位氏は「今度の選挙で自民党を信任すれば、9条に手をつけることになる危険がある。そういう道を許してはいけない」ときっぱり主張しました。

 民進・岡田代表は「憲法の平和主義が変えられようとしている。昨年の安全保障法制の議論、そして憲法9条の改正論。これはどうしても認めるわけにはいかない」と発言。社民・吉田党首も「憲法を現実に近づけるのではなく、現実を憲法に近づけることが必要だ」と述べました。

野党共闘

自公「混乱呼ぶ」「野合」と攻撃

“大義で結束”“豊かな共通政策”

 安倍首相や公明党は、戦争法廃止の野党共闘に対し「安倍政権を倒したあとどうするのか。混乱を呼ぶだけだ」(安倍氏)として「野合」だと攻撃しました。

 これに対し志位氏は「野党が安保法制を廃止する、立憲主義を取り戻す、憲法改定を許さないと、そういう太いところで、大義で結束して安倍政権を倒す。これは当たり前のことです」と反論しました。

 さらに野党共闘は戦争法廃止や安倍改憲反対だけでなく、アベノミクスによる国民生活の破壊、貧困と格差を是正する▽TPP(環太平洋連携協定)や沖縄問題のような国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない―ことで一致し、15本の議員立法を共同提案、市民連合とも19項目にわたる協定を結んでいることをあげて、「野党共闘の中身は豊かになっている」「安倍政権に代わる選択肢をしっかり示している」と強調しました。

 そして野党共闘は「野合」どころか、「日本にとっての大きな希望です」と述べました。

 4野党からも「(安保法制は)どう考えても憲法に違反している」「横暴の与党を方向転換していくためにこの選挙で野党4党が勝利を得る」(民進・岡田代表)、「4野党は基本政策をすりあわせてたたかっているし、参院選挙は政権選択の選挙ではありません。野党が協力して選挙するのは当然のことです」(社民・吉田党首)、「野党が力をあわせて国民の期待に応えられるような集団になるべきだ」(生活・小沢一郎共同代表)との声があがりました。

 野党共闘で安倍政権を倒した後にどんな政権をつくるかは必ず問われる問題です。日本共産党は「戦争法廃止の国民連合政府」をつくろうと呼びかけていますが、まだ野党間の合意になっていません。

 志位氏は「合意がなくても、参院選の(選挙協力の)障害にしてはならない」と強調。参院選では政権交代は起こらず、政権が問われる選挙は次の衆院選だとして、「総選挙までに私たちとしては、話し合いを行って、前向きの結論を得たい」と表明しました。

 岡田氏も「これからの話し合いです」と述べました。


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