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2016年6月22日(水)

日本記者クラブ主催「党首討論会」での志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は21日、日本記者クラブの党首討論会に出席し、参院選の争点などについて与野党党首と討論しました。

写真

(写真)パネルを示して発言する志位和夫委員長=21日、東京都千代田区

参院選で何を訴えるか

「力あわせ、未来ひらく。」―共同の力で政治を変えよう

 まず、各党首が今度の参院選で訴えたいことをボードに書いて、表明しました。志位氏は「力あわせ、未来ひらく。」と書き、次のようにのべました。

 志位 国民のみなさん。今度の参議院選挙では、「安倍暴走政治ストップ」の願いにこたえて、全国32の1人区の全てで野党統一候補が実現しました。戦後かつてない画期的選挙、政治を変える絶好のチャンスです。

 野党4党は次の4点を柱にして共通政策を確認しています。

 第一は、「安保法制を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回する」。

 第二は、「アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困を是正する」。

 第三は、「TPP(環太平洋連携協定)や沖縄問題のような国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない」。

 第四は、「安倍政権による憲法改定に反対する」。

「力あわせ、未来ひらく。」―日本共産党は共同の力で政治を変える党です。野党共闘の勝利、共産党の躍進へどうかお力をお貸しください。

安倍首相に問う

リーマン・ショック、大震災で税収が落ちた12年度と数字だけ比較するのはフェアではない

 続いて党首間の討論となり、志位氏は、安倍晋三首相に対し次のように質問しました。

 志位 安倍さんに質問します。安倍さんは、「『アベノミクスの果実』として民主党政権時代の2012年度に比べて税収が21兆円増えた。消費税増税分を除いても13兆円増えた」と主張し、「あの4年前の暗い時代に後戻りさせていいのか」と繰り返しています。

 私たちも当時の民主党政権には批判をもっていますが、安倍さんが比較の対象に持ち出す2012年度というのは、2008年のリーマン・ショックによる税収減と、2011年の東日本大震災による税収減による「二重の打撃」を受けていた時期です。あのトヨタでさえ法人税を1円も納めていなかった時期です。そうした巨大な外的要因をまったく考慮せず、数字だけを比較するやり方がフェアな政策論争といえるでしょうか。

 この選挙戦での政策論争を実りあるものとするためにも、このような手法は慎むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 安倍首相は「たしかに、リーマン・ショック、東日本大震災がありました。私たちが増やした21兆円。これはリーマン・ショック以前よりも増えているのです」とのべたものの、否定することができませんでした。

 この問題については、記者からも、リーマン・ショック前と比べると消費税分が増えたにすぎないとの指摘が出され、「ノーマルな時代の税収の時代に戻ったにもかかわらず、アベノミクスがすべての果実を生み出したというような宣伝は、過大広告としか思えないです。しかも、安倍政権が始まった2012年の12月は景気の谷底ですよ。景気循環論から言えば、必ず上がるんです。そこにアベノミクスをふかしたから、アベノミクスの効果もあったとは思うけれども、それがすべて自分たちがやった政策の果実としていうのは、あまりにもおとなげないと思います」との意見が上がりました。

安保法制で日米同盟はあなたの言う「血の同盟」になったのではないか 

首相は質問に答えず

 志位氏はまた、日米軍事同盟について安倍氏に次のように質問しました。

 志位 安倍さんに質問します。安倍さんは2004年に出版した著書『この国を守る決意』のなかで、次のようにのべています。「軍事同盟というのは“血の同盟”です。日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。しかし、今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです。(これで)完全なイコールパートナーと言えるでしょうか」。「(日米安保の)双務性を高めるということは、具体的には集団的自衛権の行使だ」。

 安倍さんは、この言葉の通りに憲法解釈を変え、安保法制(=戦争法)で集団的自衛権の行使を可能にしました。

 そこでうかがいますが、安倍さんは「日米同盟」は「希望の同盟」になったといわれますが、安保法制によってあなたのいう「血の同盟」になったということではないのですか。お答えいただきたい。

 安倍首相は質問には答えられず、「平和安全法制によって、日本を守るために日本とアメリカは力を合わせることができるようになりました。北朝鮮が弾道ミサイルを発射したときに、今までよりも日本と米国は、連携し対応することができた。きずなを強くした」とのべ、安保法制が施行される前のミサイル発射を持ち出すというデタラメな主張を展開して安保法制を正当化しました。

自衛隊は違憲の存在だが、いまの問題は自衛隊を海外の戦争に出していいのかどうかにある

 志位氏に対し新党改革の荒井広幸代表が、「(日本共産党は)自衛隊を認めていないのに、どうして民進党さんと一緒になれるのか」「自衛隊を海外に派遣する場合は、衆参の事前の承認がないと出せない。こういうこともムダだというふうにお考えなんでしょうか」と質問しました。志位氏は次のように答えました。

 志位 私たちは自衛隊は憲法違反の組織だと考えております。ただ、この問題を解消するには、将来の展望として、国民の合意で段階的に自衛隊の解消をはかっていくということを提唱しております。

 そして、大事なことは、今問われているのは、自衛隊をなくすかどうかじゃないんです。自衛隊を、海外の戦争に出していいのかどうかなんです。「専守防衛」の志をもってきた自衛官、あるいは被災地で頑張っている自衛官、これを「殺し、殺される」戦場に投入していいのかが問われている。

 これはダメですよ、ということで野党は結束しているわけですね。ですから、その立場から、安保法制を廃止し、立憲主義を取り戻そうという大義のもとに結束しております。

 それから国会承認のこといわれました。国会承認があればいいのか。やっぱりその時々の国会で、与党は多数をもっております。国会承認があればもう結構だ、ということでは安保法制の危険性を逃れることはできない、決してできないと思っております。

記者からの質問に答える

将来的には自衛隊は国民合意のもと解消―災害などで活用は当然のこと

 続いて記者からの質問に移り、志位氏に対して、「当面の政策と将来の政策の違いだが、災害救援なんかも含めて自衛隊の機能、役割が大事であることは国民の中では異論がない。それを将来、廃止、解消していくのはわかりにくい」との質問が出され、志位氏は次のように答えました。

 志位 憲法9条に照らしますと、自衛隊が憲法違反だということは、私たちは明瞭だと思っております。

 では、この矛盾をどうやって解決するか。9条の理想に向かって自衛隊の現実を改革していく。こういう方向で解決すべきだろうと考えます。

 ただ、これはすぐにはできません。これは、私たちが参画した本格政権ができて、その外交政策によって、すべての国と平和的な関係をつくって、そして日本を取り巻く平和的環境が成熟して、国民の圧倒的多数が、「もう自衛隊がなくても安心だ」という合意が成熟したところで初めて、これは踏み出すことができるというふうに私たちは考えております。

 そうしますと、かなりの期間、自衛隊と共存する期間が続くわけですが、こういう期間に、急迫不正の主権侵害あるいは大規模災害など、必要に迫られた場合には、自衛隊の活用をするということは、これは当然だということを大会で決めております。

 これは、矛盾のようにみえますけど、矛盾をつくったのは自民党政治なんですよ。その矛盾を私たちは引き受けて、そして9条の全面実施という方向で、国民とともに、国民の合意で変えていこうと、これが共産党の立場なんです。

イラク戦争のような無法な戦争に自衛隊を駆り立てていいのか―これが中心問題

 これについて記者から「疑問は氷解しました。しばらくいいんだという話でしたから」との感想が出されました。その上で、「立憲主義というならば、憲法違反である自衛隊を、災害救助に行くなとどうして言わないんですか」との質問が出され、志位氏は次のように答えました。

 志位 これは先ほど言ったように矛盾なんですよ。憲法違反の自衛隊が存在するという一つの矛盾です。しかし、すぐに解消できる矛盾ではありません。私たちは、将来的な展望として、国民の合意で9条の完全実施をはかるという方策をもっております。しかしそれは(国民)合意がなければできないんです。

 この矛盾をつくったのはだれかといえば、自民党政治なんです。ここに責任がある。この矛盾を引き受けて、9条の完全実施という方向に向けて国民とともに進もう。これが一番責任ある態度だと思っています。

 それから、何度も言いますけど、いま問われているのは、自衛隊をなくすかどうかじゃないんです。自衛隊を海外の戦争に出していいかどうかなんですね。自衛隊を、たとえばアメリカのこの間やってきたベトナム戦争やイラク戦争のような無法な戦争に駆り立てていいのかと。「殺し、殺される」戦場に送っていいのかと。これが今の自衛隊問題の中心なんですよ。この点ではやっちゃだめだという点で野党が結束していると申し上げておきたいと思います。

安保法制廃止で安全どう守る―9条の精神にたった平和外交戦略が必要

 続いて記者から、志位氏に「安保法を廃止した場合、国際社会における日本の安全をどう守っていくのか」との質問が出され、次のように答えました。

 志位 安保法を廃止すると、日本の平和と安全をどう確保するかということを考えた際に、日本として、憲法9条の精神にたった平和の外交戦略が必要だと思うんです。

 たとえば北朝鮮の問題がある、中国の問題もあります。この乱暴な振る舞いに私たちも強く抗議しています。しかし、軍事挑発をやったことに対して、日本の側も軍事で対応するということをやりますと、この地域の軍事対軍事の緊張関係をエスカレートするだけじゃないかと思います。

 たとえば、北朝鮮の問題も、解決の方法は対話しかないんですね。困難があっても「6カ国協議」という対話の場に北朝鮮を戻していく、国際社会の一致結束した外交努力が必要です。

 共産党としては、「北東アジア平和協力構想」というのを提唱しています。

 東南アジアの国々、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々がつくっている東南アジア友好協力条約というのがあります。

 すべての紛争問題を平和的に話し合いで解決するという平和のルールをあの地域でつくって、平和の共同体になっているわけです。その共同体を北東アジアにもつくろうじゃないかということを提唱していますが、そういう9条の立場にたった平和の外交戦略が必要だと考えております。

政権論の違いを共闘の障害にしてはならない―総選挙までに協議し前向きの結論を

 また、政権構想に関して質問が出され、志位氏は次のように表明しました。

 志位 政権の問題は先ほどから議論になっているので、表明しておきたいと思います。

 私たちは、安保法制の廃止、立憲主義の回復、このためにはそれを実行する政権が必要だと考えています。それから安倍政権打倒といっておりますが、打倒したあとどうするのか。これも政権構想が必要だと考えております。ですから、野党の連立政権について提案をしております。

 ただこれは合意がありません。合意がなくても、参院選挙の(選挙協力の)障害にしてはならないと考えております。

 参議院選挙というのは、たとえ野党が多数をとったとしても、それだけで政権交代は起こらないわけです。衆議院では、自公が多数をもっているわけですから。自民党政権は続くわけですね。

 ですから、私たちはこの問題を引き続き話し合っていきたいと思います。

 直接政権が問われるのは、これは総選挙になる。ですから総選挙までに私たちとしては話し合いを行って、前向きの結論を得たいと考えております。

18歳選挙権施行―新有権者へ

高学費・ブラック企業…不合理な現実を真剣に考えて―未来は青年がつくる 

 最後に、18歳選挙権が施行されたのを受けて、新しい有権者に訴えたいことを各党が表明しました。志位氏は次のようにのべました。

 志位 若いみなさんがいろいろと不合理に思っている問題―学費や奨学金の問題、ブラック企業の問題、安保法制の問題、こういう問題について、ぜひ真剣に考え、行動していただきたい。未来は若者のものだと、未来をつくるのはみなさん方だということを訴えたいと思います。


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