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2016年6月16日(木)

参院選必勝・全国決起集会

志位委員長の報告

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(写真)報告する志位和夫委員長=15日、党本部

 日本共産党の志位和夫委員長が15日の参院選必勝・全国決起集会でおこなった報告は次のとおりです。


 お集まりのみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、こんばんは。みなさんの日夜をわかたぬ奮闘に心からの敬意を申し上げるとともに、熱い連帯のあいさつを送ります。

 私は、全国決起集会への報告をおこないます。

日本の命運がかかった歴史的政治戦―― 一日一日の奮闘が勝敗を分ける

 参議院選挙の公示日まで1週間、投票日まで25日となりました。今度の参議院選挙は、文字通り日本の命運がかかった歴史的政治戦であります。これから25日間、私たちの一日一日の奮闘が、その勝敗を分けることになります。

 まず冒頭に、参議院選挙で、野党と市民の共闘を必ず成功させる、日本共産党の躍進を必ずかちとるという、二つの大目標を、全党と後援会の力を一つに集め、広く市民・国民と手を携えて、何としてもやりぬく決意を、みんなで固め合いたいと思います。

 参院選に先立つ政治戦で大きな朗報がありました。6月5日、投開票された沖縄県議会議員選挙で、翁長知事を支える与党勢力は24議席から27議席に躍進、大勝利をかちとりました。日本共産党は5議席から6議席に躍進、過去最高の議席を得て、県政与党第1党となりました。この勝利は、「基地のない平和な沖縄」をめざすたたかいにとっても、参議院選挙にとってもきわめて大きな意義をもつものであります。沖縄のこの勝利を、参議院選挙で、全国の勝利へと広げようではありませんか。

 政治資金の不正支出疑惑などで世論の厳しい批判が集中している東京都の舛添知事が、追い詰められて辞職を表明しました。辞職は当然であり、これは世論の画期的勝利であります。この問題では、舛添氏を知事にかつぎだし、全面支援した自民、公明の「製造者責任」が厳しく問われます。さらに甘利元大臣の口利き疑惑の問題も含め、自民党の根深い金権体質が問われます。参議院選挙、都知事選挙と連続選挙になりますが、日本共産党は、国政でも、都政でも、金権政治を一掃し、清潔で信頼できる政治への刷新を求めて、奮闘するものです。

 参院選をたたかう方針は、すでに5中総決定で明らかにされています。報告では、それを前提に、全国の党員と後援会員のみなさんが、次の三つの角度から勝利と躍進の可能性をつかんで、総決起することを訴えたいと思います。

一、野党共闘の前進と情勢の劇的変化――可能性をくみつくす大奮闘を

野党共闘の到達点――日本の戦後政治史でも初めての画期的なたたかいに

 第1の角度は、野党共闘の前進という角度であります。

 この参議院選挙は、時の政権を打倒することを正面の目標に掲げて、野党と市民が全国的規模で選挙協力をおこなって国政選挙にのぞむという、日本の戦後政治史でも初めての画期的なたたかいとなっています。

 私たちは、全体の勝敗の帰趨(きすう)を左右する1人区で選挙協力の努力を重ねてきましたが、「安保法制廃止、立憲主義回復、安倍政権打倒」を共通の旗印に、全国32の1人区のすべてで野党統一候補が実現しました。香川県では、日本共産党のたなべ健一候補が、野党統一候補となりました。ここまで前進するとは、私自身、正直に言って、この方針に踏み出したときには想像もできなかったことであり、うれしい想定外であります。市民の運動の後押しがあったからこそ、さまざまな困難を乗り越えて前進することができました。

 野党4党は、安保法制以外の問題でも、この間の野党党首会談、野党が共同提出した15本の議員立法、「市民連合」との政策協定の調印などをふまえ、暮らし、民主主義、憲法など、国政のさまざまな分野にわたって「共通政策」を豊かに発展させています。その気になれば、政権を担えるくらい、野党共闘は進化しつつあります。

 全国各地で、野党と市民が肩を並べてともにたたかうなかで、相互の理解と信頼が深まっています。6月3日、香川県の日本共産党松原県委員長と、民進党小川県連代表が交わした「基本的事項の確認書」には次のように明記されています。

 「野党4党の共闘路線を重視し、有権者の正しい理解を求めるため、……両者は04年共産党新綱領の趣旨に従い、……以下を確認する。

 1、今日の日本社会に必要なのは社会主義的変革ではなく、資本主義の枠内での民主的改革であり、私有財産の保障が基本となる。

 2、平和外交を重視するが、日米安保条約の廃棄や自衛隊の解消という共産党の政策は野党共闘に持ち込まない。

 3、天皇制を含めた現行憲法の全条項を守る。天皇制のあり方は、国民の総意によって決せられるものである。

 4、一党独裁制を否定し、議会制民主主義及び選挙による政権交代制を堅持する。

 5、地方自治の確立、労働基本権の擁護、男女平等、信教の自由及び政教分離原則の徹底を図る」

 党綱領の立場に、他党から共感や信頼が寄せられるところまで、野党共闘が進化していることは、たいへんうれしいことではありませんか。

 もちろん、野党統一候補の実現は、スタートラインに立ったにすぎません。自民党相手の一騎打ちで勝利することは容易ではありません。野党4党が本気で結束し、市民と心一つに頑張りぬき、1足す1が2でなく、3にも4にもなるたたかいをやり、32の1人区のすべてで自民党を打ち負かすために全力をあげて頑張りぬこうではありませんか。

国民のなかに希望をよびおこし、国民と党との関係が劇的に変わりつつある

 野党と市民の共闘の前進は、情勢の激変をつくりだしています。

 野党共闘の前進は、国民のなかに「政治は変えられる」という希望をよびおこしています。

 一昨日(13日)、「しんぶん赤旗」の読者から、次のようなメールが寄せられました。「自覚的に日本政治と関わって40年、こんなにワクワクした展望溢(あふ)れる選挙は21世紀に入って初めての様な気がします。13年、14年の躍進した選挙でもワクワクしたのですが、今回はレベルが違います。日本中が改革の嵐にあるような気がします。……《市民革命》の一端に参加する喜びをかみしめています。比例区複数区での日本共産党の躍進・32の1人区での野党統一候補の勝利を祈念します。日本近現代史に特筆される希代の《市民革命》の勝利に貢献できることを誇りに思います!」

 野党共闘の前進によって、国民と日本共産党との関係が劇的に変わりつつあります。「踏み出してみるとびっくり、やればやるほど面白い」――こうした声が、宣伝や対話に足を踏み出した支部や党員から共通して寄せられています。

 神奈川県のある支部の党員は、「あらゆる結びつきで訴えよう」の呼びかけに応えて「私は毎年100枚の年賀状を出している。この全員に声をかけてみる」と決意、実際に対話してみたところ、何と67人が党を支持してくれたとのことです。

 福井県のある支部の党員は、「マイ名簿」を中心に約1000人と対話、驚くことに8割以上が支持してくれました。次のように感想を語っています。「選挙協力を共産党が提案したときは、自分も1人区ですべて統一できるなんて信じられませんでした。こんな情勢の急激な発展は経験したことがありません。『マイ名簿』での対話を通じて、いま強く思うのは、『対象者を選んであたる』という考え方はもう古い、ということ。もう共産党は蚊帳の外じゃないのだから。少しでも面識のある人に声をかけないのは、本当にもったいない。買い物に行ったお店で若い店員さんも、『共産党は候補者おろして偉いじゃない。32全部で野党が共闘するなんてすごい』と感動していました」

 日本共産党の演説会がこれまでになく大盛況で熱い。参院選直前の全国遊説(3月〜6月12日)は、全国47都道府県194カ所で開催、参加者総数は18万3千人となっています。これは躍進した2014年の総選挙直前の全国遊説(14年10月〜公示前日の12月1日)の2倍におよびます。多くの演説会が、たいへん明るく、活力と熱気あふれるものとなっていることが特徴であります。

 いま、多くの国民が、野党共闘で日本共産党が果たしている役割に注目と評価を寄せ、「共産党を見直した」「共産党の話を聞いてみたい」という流れが起こりつつあります。こうした変化は、1人区はもとより、全国どこでも起こっています。

 全国どこでも、野党共闘がどうなっているのか、日本共産党はどういう役割を果たしているのかを大いに語ろうではありませんか。まさに、「ワクワクした展望あふれる選挙」です。いま生まれている新たな可能性をくみつくす大奮闘で、日本共産党の躍進を必ずかちとろうではありませんか。

野党共闘の勝利と、「比例を軸」にした日本共産党躍進を、一体的・相乗的に推進する

 選挙戦では、野党共闘の勝利と、「比例を軸」にした日本共産党の躍進を一体的に追求するという姿勢を、最後まで堅持して頑張りぬきます。

 わが党は、野党共闘の勝利のために、真剣かつ誠実に力をつくします。32の1人区では、野党統一候補が、無所属の候補者であれ、民進党公認の候補者であれ、わが党自身の候補者として、勝利のために必要なことは何でもやるという姿勢で頑張りぬきます。

 同時に、野党共闘は、1人区だけの問題ではありません。比例区、複数区においても、私たちは、野党共闘の精神でたたかいます。ここでは、「野党は競い合って、自公とその補完勢力を少数にする」ことを野党4党で確認しています。ここでのたたかいは、1人区のような統一候補という形ではありませんが、「自公とその補完勢力を少数にする」という野党共通の目標を実現するために、それぞれが「競い合って」勝利をめざすという姿勢を貫きます。政治論戦においても、野党がそれぞれの立場で「自公とその補完勢力」を批判し、孤立させ、共同して倒していくという姿勢を貫きます。

 日本共産党が、1人区でも、比例区、複数区でも、野党共闘の勝利という大義のために、真剣かつ誠実に力をつくすことは、わが党に対する国民の信頼と共感を広げ、日本共産党の躍進の条件を大きく広げることになるでしょう。

 同時に、「比例を軸」にした日本共産党躍進の大波をつくりだすことは、32の1人区で野党統一候補が勝利する条件を広げるとともに、比例区、複数区を含む選挙戦全体で「自公とその補完勢力」を少数に追い込むうえで、絶対不可欠であります。

 野党共闘の勝利と、「比例を軸」にした日本共産党の躍進という二つの大目標を、一体的に追求し、相乗的に推進するよう、知恵と力をつくそうではありませんか。

二、政治論戦――安倍政権を追い詰め、日本共産党躍進をかちとる攻勢的論戦を

 第2の角度は、政治論戦という角度であります。

 6月9日に発表した参議院議員選挙政策「力あわせ、未来ひらく」を縦横に活用し、安倍政権を追い詰め、日本共産党躍進をかちとる攻勢的論戦をおこなうことを呼びかけます。いくつかの重視していただきたい点について報告したいと思います。

参院選の争点――「安倍暴走政治」の全体にノーの審判、チェンジの意思を示す選挙に

 一つは、参院選の争点は何かという問題です。

 安倍首相は、「アベノミクス選挙」だと繰り返しています。もちろん「アベノミクス」の是非は大争点の一つです。しかしそれだけに争点を狭めるわけには決していきません。安倍首相は、2013年7月の参院選を「アベノミクス」一本にしぼってたたかい、多数の議席を得ました。やったことは秘密保護法、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の強行でした。2014年12月の総選挙も「アベノミクス」一本にしぼってたたかい、多数の議席を得ました。やったことは憲法違反の安保法制=戦争法の強行でした。首相は、選挙戦は「アベノミクス」一本でたたかい、選挙が終わると憲法破壊の政治を繰り返すことを2度もやってきたのであります。

 しかし、私は、はっきり言いたい。3度目はこんなやり方は決して通用しない。何よりも「アベノミクス」そのものの破たんが、戦後最悪の個人消費の落ち込みに象徴されるように、いよいよ明瞭になっています。そして、安保法制=戦争法と憲法問題は、この問題を要にすえた野党と市民の共闘が画期的な前進をとげるもとで、いやがおうでも選挙戦の大争点となっています。

 この参院選では、民意に背く「安倍暴走政治」の全体――安保法制=戦争法と憲法改定の問題、「アベノミクス」の問題、TPP問題、原発問題、沖縄米軍基地問題などの全体が問われます。

 日本共産党の躍進で、「安倍暴走政治」の全体にノーの審判を下し、チェンジの意思を示す選挙にしていこうではありませんか。

批判とともに対案を語り、「政治を変える道はある」という希望を語ろう

 二つ目に強調したいのは、批判とともに対案を語り、「政治を変える道はある」という希望を語ろうということです。

 安倍首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発の暴挙を最大限に利用して、戦争法を合理化しようとしています。それだけに、戦争法の危険性を告発するとともに、どうやって北東アジアの平和と安定を築くかについて、私たちの平和的対案を語ることが大切であります。日本共産党が、「北東アジア平和協力構想」という憲法9条にたった平和の外交戦略を提唱し、その実現のために内外で行動していることを、大いに語ろうではありませんか。

 安倍首相は、「アベノミクス」の失敗をごまかすために、「野党にまともな経済政策はない」と攻撃しています。とんでもないことです。日本共産党は、「アベノミクス」と消費税大増税路線をきびしく批判するとともに、「格差をただし、経済に民主主義を確立するための、三つのチェンジ」――「税金の集め方を変える」「税金の使い方を変える」「働き方を変える」という責任ある対案を示しています。それを実行するための財源提案「消費税にたよらない別の道」を、数値の裏付けも踏まえて提案しています。「まともな経済政策がない」のは、安倍政権の側にほかなりません。日本共産党こそ、国民の願いにこたえ、現実的で合理的な経済政策を提唱していることを、大いに訴えていこうではありませんか。

 わが党の参議院選挙政策では、TPP問題、原発問題、沖縄問題など、選挙戦のあらゆる争点で、安倍政権の暴走に対する批判とともに、問題を解決する方途、対案を示しています。ここに着目して、縦横に活用していただきたいと思います。

 野党共闘の前進が目に見える形ですすむなかで、無党派の方々、これまで投票に行かなかった方々も含めて、「政治は変えられる」という希望が広がりつつあります。同時に、安倍首相が「この道しかない」と連呼するもとで、どうやって政治を変えたらいいのか、その道筋が見えないという模索もあると思います。

 そういうもとで、私たちが、「政治を変える道はある」という希望を語り、「この道をともにすすもう」と呼びかけることが大切であります。日本共産党が、安倍政治への最もきびしい「批判者の党」であるとともに、国民とともに未来を開く「建設者の党」であることを、大いに語っていこうではありませんか。

なぜ日本共産党の躍進か、わが党ならではの値打ちを大いに語ろう

 三つ目に強調したいのは、なぜ日本共産党の躍進か、わが党ならではの値打ちを大いに語ろうということです。

 5中総決定と参院選政策では、「安倍政権の暴走に確かな足場をもって対決し、政治を変える展望を示す党」、「国民の共同、野党の共同を何よりも大切にし、共同の力で政治を変える党」、「安倍政権に代わる責任ある政権構想=『国民連合政府』を提唱する党」――「三つの値打ち」を訴えています。

 それぞれが大切ですが、野党共闘の前進のために、わが党が「二つの決断」をしてきたことを語ることはとても重要であります。

 第1の決断は、戦争法が強行された9月19日の午後に、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を提唱したことです。戦争法ばかりは「数の暴力」で強行されたからといってそのままにしておけない。廃止しなければならない。廃止するためにはそれを実行する政府が必要だ。この一点で一致する野党が選挙協力をおこない、安倍政権を倒そう――わが党がこの呼びかけをおこない、実現のために粘り強く努力してきたことは、今日の野党と市民の共闘の前進への貢献になったと考えるものです。

 第2の決断は、2月19日、5野党党首会談の合意を踏まえ、「参院1人区では思い切った対応をする」と表明したことです。選挙協力は相互支援が当たり前の原則です。しかし、わが党が最初から相互支援の原則の具体化を提起したら、恐らくは前にすすまないと考えました。野党共闘を前進の軌道に乗せることを最優先する、この大局に立って思い切った譲歩が必要だ。「かなりの人をおろす」という決断をしてでも、野党共闘を前進の軌道に乗せなくてはならないと考えました。この決断が、市民運動の後押しともあいまって、全国32の1人区のすべてでの野党統一候補の実現につながったと考えるものです。

 日本共産党の野党共闘の方針が、現実を動かしつつあるのは、2013年の参院選と、2014年の総選挙で、連続躍進させていただいたおかげであります。日本共産党がさらに躍進し、政界での力を大きくすることは、野党と市民の共闘をさらに発展させる確かな力となります。「力あわせ、未来ひらく。」――日本共産党をさらに大きくという訴えを、広げに広げぬこうではありませんか。

安倍首相による野党共闘攻撃、反共攻撃に答える

 四つ目は、政府・与党による野党共闘攻撃、日本共産党攻撃を、断固として打ち破るということであります。

 安倍首相は、野党共闘に深刻な危機感を燃やし、連日のように、野党共闘への攻撃をおこなっています。攻撃の中身はパターン化しており、同じことの繰り返しですが、この場でまとめて反論しておきたいと思います。

 首相は、「民進党と共産党が一緒になってどんな経済政策ができるのか。対案を聞いたことがない」と言います。しかし野党4党は、経済の分野でも「共通政策」を豊かに発展させています。「アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困を是正する」ことを「共通政策」として確認し、具体的には、「介護・福祉職員の給与引き上げ、保育士の給与引き上げ、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の増額、長時間労働の規制、均等待遇と同一価値労働同一賃金、最低賃金の大幅引き上げ、高校完全無償化、給付制奨学金・奨学金債務の減免、被災者生活再建支援法の改正、累進所得税・法人課税と資産課税のバランス回復による公正な税制の実現(タックスヘイブン対策を含む)」などを「共通政策」として確認しています。ここには、暮らしを応援して経済を良くするという、「アベノミクス」への対抗軸がしっかりと立っているではありませんか。安倍首相は「聞いたことがない」のかもしれませんが、これらはすべて天下に明らかにしていることであります。人を攻撃するときは、調べてからものをいうべきです。

 首相は、「民進党と共産党は一緒になって平和安全法制を廃止しようとしています。そんなことになれば日米同盟の絆が壊されてしまいます」と言います。しかし、私は、問い返したい。「日米同盟」のためなら、日本国憲法を壊してもいいのか。そんな権利は誰にも与えられていません。さらに、首相のいう「日米同盟」とは何か。安倍氏は、2004年に出した『この国を守る決意』という著書で、「軍事同盟というのは“血の同盟”です。……しかし、今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない」と述べ、集団的自衛権行使の必要性を説いていました。その後、この言葉通りに、憲法解釈を変え、戦争法を強行しました。首相のいう「日米同盟」とは「血の同盟」なのです。アメリカの戦争のために、日本の若者の血を流す――こんな「日米同盟」など願い下げではありませんか。

 首相は、「安保条約や自衛隊で政策の違うものが選挙協力をやることは許せない」と言っています。しかし、野党は、「安保法制廃止、立憲主義を取り戻す」という大義のもとに結束しています。「立憲主義を取り戻す」とは、ひらたく言えば「憲法を守る政治を取り戻す」ということです。これは、あれこれの政策の違いを横に置いてでも、最優先すべき仕事ではないでしょうか。この立場から、わが党は、安保条約や自衛隊などの独自の政策を野党共闘に持ち込まないという姿勢を初めからとっています。「許せない」というなら、安保法制=戦争法の強行によって、憲法を壊し、立憲主義を壊した安倍政権こそ、「許せない」と言わなければなりません。

 首相は、最近の演説のなかで、「気をつけよう。甘い言葉と民進党」とまで言いました。いやしくも一国の首相が、天下の公党に対して、このような低次元の誹謗(ひぼう)中傷をやるべきではありません。それはまともな政策論争ができない、国民に訴えるべき政策がないことを、自ら告白するものではありませんか。

 政府・与党による野党共闘攻撃、反共攻撃は、日本の平和と民主主義、国民生活に対する攻撃にほかなりません。それは同時に、彼らがいかに野党と市民の共闘を恐れているかを、示すものにほかなりません。わが党は、他の野党、市民と力をあわせ、不当な攻撃を断固として打ち破るために、先頭に立って奮闘する決意を表明するものです。

三、政党対決の構図――「日本共産党を除く」の「壁」が完全に崩壊した

「自公と補完勢力」対「4野党プラス市民」――共産党排除の「壁」が崩壊した

 第3の角度は、政党対決の構図という角度であります。

 全国32の1人区のすべてで野党統一候補が実現したことによって、参議院選挙の対決構図が、「自公と補完勢力」対「4野党プラス市民」であることが、すっきりと浮き彫りになりました。

 これは、「日本共産党を除く」という「壁」が完全に崩壊したことを意味するものであります。

 歴史をたどりますと、この「壁」が最初に築かれたのが、1980年の「社公合意」でした。「共産党排除」が両党の政権合意の中に書き込まれ、これを契機に、中央政治でも、地方政治でも、「日本共産党を除く」という状況がつくられました。

 「日本共産党を除く」という「壁」は、形をさまざまに変えながら続きました。1990年代前半の「自民か、非自民か」というキャンペーン、2000年代の「二大政党の政権選択」というキャンペーンは、どちらも日本共産党をはなから選択肢の外に置いてしまうものでした。それは、わが党の前進を阻む強烈な逆風となって作用しました。

 ところが今では、「日本共産党を除く」という「壁」は完全に崩壊しました。最初に党派を超えた共闘が始まったのは、2014年の沖縄でした。辺野古新基地反対の一点で「オール沖縄」の共闘体制がつくられ、名護市長選、沖縄県知事選、総選挙と連続勝利をかちとりました。この流れが、2015年には、「戦争法案反対」という旗を掲げた野党と市民の共闘につながりました。それはさらに今、2016年の参議院選挙で、「安保法制廃止、立憲主義回復」という大義の旗のもとに、野党と市民が全国的規模で選挙協力をおこなって国政選挙にのぞむという、日本の戦後政治史でも初めての画期的なたたかいへと発展しています。

新しい市民運動の力が「壁」を打ち破り、崩壊させた

 「壁」をとりのぞいた力はどこにあったか。戦後かつてない新しい市民運動の力にほかなりません。3・11の大震災・原発事故を契機に、国民一人ひとりが、主権者として自発的に声を上げ、立ち上がる新しい市民運動が、さまざまな分野で広がりました。それは、昨年、「戦争法案反対」の大闘争へと大合流し、日本の歴史でも初めての市民革命的な動きが開始されました。この新しい市民運動の力が、1980年から2014年まで続いた「日本共産党を除く」という「壁」を打ち破り、崩壊させたのであります。

 同時に、日本共産党が、この三十数年来、難しい情勢のもとでも、無党派の方々と手を携え、政治変革の旗を掲げて、不屈に頑張りぬいたことが、この新しい時代を開いたということも、強調しなければなりません。

こんなにたたかいやすい、こんなにやりがいのある選挙はない

 「日本共産党を除く」という「壁」がとりのぞかれたことによって、政党対決の構図は、実に見晴らしが良くなりました。

 「自公と補完勢力」対「4野党プラス市民」という二大勢力による対決という構図がつくられ、日本共産党は二大勢力の一方で重要な役割を果たしています。政府・与党も、ここに政権を脅かす最大の脅威があることを認めています。

 こんなにたたかいやすい、こんなにやりがいのある、こんなに面白い選挙はないではありませんか。

 新しい時代の、新しい条件を生かして、日本共産党の躍進を必ずかちとろうではありませんか。

四、あと25日間、いかにたたかうか――三つの点を訴える

 残る25日間、どうたたかうか。選挙戦の方針は、すでに5中総決定で全面的に示されています。そのすべてをやりきることを前提に、とくに三つの点について訴えたいと思います。

「比例を軸に」を貫き、比例目標に「魂」を入れ、本気でやり抜こう

 第一は、「比例を軸に」を貫き、「850万票以上、15%以上」という比例代表の得票目標、それを具体化したそれぞれの都道府県の比例目標に「魂」を入れ、「ベスト9」全員を国会に押し上げるために、本気で目標をやり抜く立場にたちきって、やるべきことをやりきるということであります。

 わが党は、(改選)定数2〜6の複数区では、比例代表の躍進とともに、選挙区でも議席を獲得することを目標に置いていますが、勝利をかちとるカギはどこにあるか。それぞれが決めた比例代表の目標をやりきることを正面にすえ、日本共産党躍進の波をつくりだす。その波のうえにそれぞれの候補者の魅力をのせて選挙区での激戦に競り勝つ。この姿勢に徹することが勝利のカギであります。

 先日、私は、京都にうかがったさいに、次のように訴えました。

 「京都で勝利するカギはどこにあるか。比例代表で30万票以上を獲得し、自民党を抜いて第1党になる。この日本共産党躍進の波のうえに大河原としたか候補の魅力をのせ、自民党を落として大河原候補を押し上げる。この姿勢に徹することが勝利のカギです。それができるか。できます。2013年の参院選でも、14年の総選挙でも、京都で共産党は比例代表で第2党です。第2党までいったら次の目標は第1党しかないではありませんか。14年総選挙での比例代表の得票は19万票、1・5倍にすれば30万票になります。『京都の底力』を発揮すれば必ず30万票の獲得はできます」

 全国13の複数区のみなさんに訴えます。条件はそれぞれだと思いますが、同じ精神で選挙戦をたたかいぬき、比例代表の躍進と、選挙区での勝利という「二つの勝利」を必ずかちとろうではありませんか。

 (改選)定数1の選挙区では、野党統一候補の必勝のために誠実かつ真剣に力をつくすとともに、新しい条件を生かして比例得票を2倍、3倍にするという意気込みで大奮闘したいと思います。1人区の選挙区のたたかいは、文字通り過半数をとりにいくたたかいになります。これまでとは全く規模の違う広大な有権者に働きかけることになります。そういう働きかけと一体に、「比例は共産党に」と訴えるならば、かつてない躍進をかちとることは可能であります。

 長野県からは、全地区で「テレデータ対話作戦」にとりくみ、2日間で1475人と対話、そのうち46%が野党統一候補へ、40%が比例で日本共産党への支持・好感を表明したとの報告が寄せられました。野党共闘の前進を紹介すると、「安倍政権を倒せることがわかった」「野党共闘をおおいにやろう」「今度は共産党」などの反応が次々に寄せられ、「比例で2倍、3倍の得票はできる」との手ごたえをつかんでいるとの報告であります。

 全国32の1人区のみなさんに訴えます。野党共闘の最前線にたって画期的な情勢を切り開いてきたことへの誇りと自信をもって、野党統一候補の勝利、比例代表の大躍進を、全国どこでもかちとろうではありませんか。

市民・国民とともにたたかう壮大な選挙戦を発展させよう

 第二は、市民・国民とともにたたかう壮大な選挙戦を思い切って発展させるということであります。

 安保法制=戦争法廃止をともにたたかっている市民運動が、参院選を自らのたたかいと位置づけ、「野党の勝利は私たちの勝利」「選挙に行って未来を開こう」とさまざまな行動を始めています。全国各地で、「市民プラス野党の合同集会」や「合同演説会」がおこなわれ、大きな注目を集めています。6月7日、「市民連合」と4野党との政策協定が調印されたことは、野党と市民の共闘を発展させるうえで、大きな意義をもつものとなりました。

 1人区では、野党統一候補の勝利のために、それぞれの地域の「市民連合」と4野党との共闘の力を最大限に発揮してたたかいぬきます。複数区でも、地域の実情に応じて、市民・国民と協力したたたかいを最大限に追求します。

 ここで大切なことは、無党派や保守の人々との相互信頼と尊敬(リスペクト)を大切にして、選挙を「手伝ってもらう」ではなく、「ともに選挙をたたかうパートナー」として、ひろく協力をよびかけていくことです。ある無党派の市民運動のメンバーは、わが党との懇談で次のように語っています。

 「今回の選挙は、政党だけの選挙ではなく、僕たちの選挙なんです。野党の勝利は僕たちの勝利なんです。だから何かしたい、応援したいと思っています。とりわけ、その中心的役割を担った日本共産党への期待は大きい。共産党は市民に開かれた姿をみせて、市民と一緒にたたかってほしいし、僕たちもお手伝いではなく、自分たちのたたかいとしてともに活動したい」

 神奈川県では、あさか由香候補を自発的に応援するグループ、「withあさか」が発足し、独自の事務所をたちあげ、党と一緒に知恵を出し、候補者のホームページや宣伝物のデザインの刷新をおこない、アピール街宣、ビラのポスティング、テレデータ作戦など、活動が多面的に発展しています。これに党員も励まされ、党としても「withあさか」の行動日程を紹介し、事務所の炊き出しを一緒に食べ、一緒に街宣や全戸配布にとりくみ、文字通り「ともにたたかう」選挙戦になっています。

 いま日本共産党に期待を寄せ、「何かしたい」「応援したい」と思っている方々の気持ちを大切にして、この歴史的政治戦を、文字通り市民・国民とともにたたかう壮大な選挙戦にしていこうではありませんか。

全国の党員のみなさんに訴える――いま活動の規模とテンポの大飛躍を

 第三に、訴えたいのは、選挙戦は、時間が限られたたたかいであり、いま、私たちの活動のギアを切り替え、トップスピードに入れることが、勝利のためにはどうしても必要だということであります。

 すでに報告してきたように、この参議院選挙は、野党共闘の前進という点でも、政治論戦という点でも、政党対決の構図という点でも、日本共産党躍進のかつてない可能性があることは疑いありません。

 同時に、私たちの活動の到達点をリアルに見れば、宣伝戦でも、組織戦でも、率直にいって、これまでの活動の規模とテンポでは、躍進のチャンスをのがしかねないということを、言わなければなりません。泣いても笑っても、あと25日です。勝つためには、やるべきことを、やるべき期日までにやり抜かなければなりません。そのためには、いま、私たちの活動の規模とテンポを大飛躍させることがどうしても必要です。活動のギアを切り替え、トップスピードに入れることがどうしても必要です。

 そして、活動の規模とテンポを大飛躍させるには、道は一つしかありません。すべての支部と党員が、後援会員とともに立ち上がることであります。

 全党の党員のみなさんに心から訴えます。いま日本の政治は、戦後かつてない歴史的な分かれ道に立っています。安倍政権がもくろむ独裁政治と戦争国家への道は、日本共産党の存在意義にかけて、絶対に許してはなりません。

 同時に、大きな希望が見えています。豊かに発展しつつある野党と市民の共闘を成功させ、日本共産党の躍進をかちとるならば、安倍政権を倒し、自民党政治を終わらせて、新しい政治、新しい政府をつくることができる。その歴史的チャンスが目の前に広がっています。この歴史的チャンスを必ずものにしようではありませんか。

 それぞれの党員のみなさんの置かれている条件はさまざまだと思いますが、条件に応じ、得手を生かして、みんなが立ち上がり、みんなで力をあわせて、選挙に勝ち、日本の政治の新しいページを開こうではありませんか。

 中央委員会は、全党のみなさんと心一つに、野党共闘の勝利、日本共産党躍進の先頭に立って奮闘する決意をのべ、報告を終わります。


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