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2016年5月16日(月)

主張

医療費の窓口負担

命と健康脅かす事態の打開を

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 経済的負担の重さのため医療機関を受診できず、命が失われる痛ましいケースが後を絶ちません。保険料を払いきれずに「無保険」状態に追い込まれたり、窓口で支払う本人負担の大きさに耐えられずに必要な治療を中断せざるをえなくなったり―。お金のあるなしで命と健康が左右されるような事態を、これ以上放置することはできません。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によって、貧困と格差が深刻な広がりをみせるなか、医療をめぐる経済的負担の軽減をはかることが急がれます。

必要な治療まで中断して

 がんと診断された50代の女性は不安定な収入のため治療費が重荷になり治療を中断しました。その後症状悪化で救急搬送されたものの入院費が払えないと退院し、最後は手遅れで亡くなる結果に―。

 全日本民主医療機関連合会が最近発表した2015年「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」のケースの一つです。調査は毎年実施されていますが、15年の「手遅れ死」は63人にのぼりました。ここ数年、高止まりの傾向です。全日本民医連加盟の医療機関を通じた限られた調査なので、この数字はまだまだ「氷山の一角」です。

 多くの事例は、失職などで収入が減ったにもかかわらず、高い国民健康保険料(税)の負担を強いられ、払いきれず正規の保険証を取り上げられ、医療機関にかかれなくなった人たちです。高すぎる国保料引き下げなどの改革が急務であることを示しています。

 窓口負担の重さが、受診を控える大きな要因の一つになっていることも深刻です。民医連調査でも、正規の保険証を持っている人でも「受診手遅れ死」にいたった事例が少なくありませんでした。

 開業医でつくる全国保険医団体連合会の会員約1万人の調査では、約4割の医療機関で、経済的理由で治療を中断・中止する患者がいたことが明らかになりました。高血圧や糖尿病など継続的な治療が求められる場合ほど中断が高い傾向が見られ、歯科では虫歯や歯周病で治療を中断する人が多いといいます。現場の医師・歯科医師からは「治療中断による重症化」が多いことが報告されています。

 公的医療保険に加入し、なんとか保険料を払っていても、いざ治療が必要となったとき、窓口での負担の重さに国民が二の足を踏んで病状を悪化させてしまうような現実は、「国民皆保険」から、あまりにもかけ離れた姿です。

 ヨーロッパ諸国やカナダなどと比べ、本人負担原則3割という日本の窓口払いは高すぎます。窓口負担引き下げなどで、お金の心配なく安心して受診できるようにすべきです。負担軽減は、とくに被災地などでは切実です。子どもの医療費無料化に踏み切った自治体で、早期発見・治療が可能になり、子どもの虫歯治療が前進した事実を直視することが必要です。

負担増の逆行をやめよ

 安倍政権は4月から、紹介状なしで大病院を受診する患者への上乗せ徴収、入院時の食費負担増を実施しています。さらに7月の参院選後には「かかりつけ医」以外を受診したときの負担増、75歳以上の医療費窓口負担の原則2割などを国民に強いる計画です。こんな逆行は許されません。参院選で、安倍政権と与党にノーの審判を下すことが重要となっています。


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