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2016年4月25日(月)

主張

障害者差別解消法

施行は第一歩、さらなる拡充を

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 障害者差別解消法が今月施行されました。障害者の社会参加を促し障害の有無で分け隔てされず、ともに生きることのできる社会の実現をめざす土台の一つとなる法律です。「差別」の定義が明確でないなど不十分さはありますが、障害者差別をなくす目的の法律が施行されたのは、重要な一歩です。施行を踏まえ障害者施策の拡充をすすめることが必要です。

社会的障壁なくすために

 障害者差別解消法は2013年、全会一致で成立しました。障害者権利条約の批准(14年1月)に向けた国内法整備の一環です。対象は、障害者手帳を持つ人だけでなく、心身に障害があり障害や社会的障壁により、日常生活などに制限を受けている人です。慢性疾患患者なども含まれます。

 同法は、国、自治体、民間事業者が、障害のある人に対して正当な理由もなく、障害を理由として差別すること(不当な差別的取扱い)を禁止します。例えば、席が空いているのに、混雑する時間帯だからと、車いす利用者の入店を断ることをしてはなりません。

 また同法は「合理的配慮の提供」を国、自治体、民間事業者に求めています。「合理的配慮の提供」とは、視覚障害者が試験を受けるときは点字で行うことや、聴覚障害者が参加する会議には手話通訳を配置することなど、障害者が障害のない人と同じことができるように、それぞれの障害に応じて行うことをいいます。法律では、提供側の過重負担にならない範囲で障害者の要望に応じることを求めていますが、国と自治体は法的義務としたのに、民間事業者は努力義務にとどめました。社会的障壁を取り除き、障害者の能力を発揮できるようにするには、「努力」だけでは限界があります。民間にも法的義務が必要です。

 「差別」の定義もあいまいです。国や自治体が策定したガイドラインも「不当な差別的取扱い」「合理的配慮の提供」の具体例を示しているだけです。なにが社会的障壁にあたるかについては、障害者に「意思表明」を求めるとしていますが、意思表明が困難な障害者は少なくありません。障害者が差別を受けたときに相談する窓口や救済の仕組みも、同法で位置づいていません。差別された人は自治体の障害福祉課や相談センターなどに行くことが想定されていますが、関係機関との連携・調整が適切に行われるかどうか不明確です。相談と救済の機能を果たす機関の設置こそが求められます。

 障害者の社会参加には、社会的障壁を取り除く障害者差別解消法と、障害者の暮らしを支える福祉施策が「車の両輪」になることが不可欠です。政府は「応益負担」を強いる障害者自立支援法に代わる障害者総合支援法を制定しましたが、障害者の社会参加を促進させる法律ではありません。障害者の声に応えた改正こそ必要です。

被災地での保障が急務

 熊本地震の被災地では、福祉避難所の確保や受け入れの遅れなど障害者の状況は深刻です。障害者団体は、正確な情報がいきわたるように緊急災害時のテレビなどに字幕や手話通訳をつけることなどを要望しています。差別解消法にもとづく対策は被災地で急務です。震災のなかで障害者が取り残され、生存や権利が侵害されることは絶対にあってはなりません。


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