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2016年4月22日(金)

きょうの潮流

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 中国の故事に爛柯(らんか)と呼ばれる説話があります。晋の時代、王質という木こりが山に入ると、童子が碁を打っていた。つい見入ってしまい、ふと気がついたときには斧(おの)の柄が腐っていた―▼「爛」は腐る、「柯」は斧の柄。時がたつのを忘れるほど、碁は人を夢中にさせる。囲碁の別称「爛柯」の伝説です。前人未到の七冠を達成した井山裕太さんは幼い頃、こうした碁にまつわる話を祖父の鐵文(てつぶん)さんから聞いて育ちました▼故事逸話の数々や、初代の本因坊算砂(さんさ)から始まる強豪棋士たちの活躍ぶり…。打ち方を性急に教えこもうとするのではなく、碁への興味を深めようとした鐵文さんの心遣い。それは裕太少年の胸に壮大な世界や夢を描きました▼師匠にも恵まれました。小学1年で師事した石井邦生九段は、いじり回して個性をつぶさない、自由な発想を押さえ込まないことを肝に銘じて接したといいます。そして、めきめきと頭角を現す少年に「とにかく天狗(てんぐ)になってはいけないよ」のひと言を忘れずに▼数千年の歴史をもつという囲碁。もとは天文を占う道具だったといわれています。碁盤は地、路は時の移ろい。碁石は天、色は陰陽を表す。それを組み合わすことで宇宙空間を表現しました▼9年前、本紙主催の新人王に輝いた18歳の井山さんは「この経験を生かして世界戦で活躍する棋士になりたい」と。世界一は幼い頃から抱いてきた夢であり、目標。古来、人びとをとりこにしてきた深遠な宇宙で自由奔放な井山流を究めてもらいたい。


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