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2016年4月14日(木)

主張

TPPの交渉記録

「外交は結果がすべて」は暴論

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 衆院の特別委員会で始まったばかりの環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案の審議が、安倍晋三政権が交渉経過にかかわる資料を全ページ黒塗りで提出し、加えて西川公也委員長が交渉経過にふれた著書を出版しようとしていることが発覚して、ストップしていました。交渉経過の公開を求める野党の要求に安倍首相や石原伸晃担当相らは、「外交は結果がすべて」であり、「交渉経過を明らかにしろというのは外交交渉上できない」と全面拒否です。18、19世紀の秘密外交でもあるまいに、「外交は秘密」というのはとんでもない暴論です。

国会の審議権踏みにじる

 外交交渉の公表に一定の制約があるとしても、国民の「知る権利」に応えるためにも、公表が原則であることは論をまちません。外務省が定めた「外交記録公開に関する規則」も、外交記録が「国民共有の知的資源」であり、「主権者である国民が主体的に利用し得るもの」であることを踏まえて、一定のルールのもとでの公表を定めています。いわんや、TPPは国会で承認案が審議されるものであり、国会が提出を求めた資料を45ページすべて黒塗りで提出するなどというのは、国会の審議権も国民の「知る権利」も踏みにじるものというほかありません。

 しかもその一方で西川委員長の著書出版には政府が便宜を図ったとみられているのは重大です。与党は特別扱いで秘密を漏らしていることを証明したのも同然です。

 安倍政権がTPPの交渉経過の公表を拒否しているのは、日本やアメリカなど12カ国で行われたTPPの交渉に、協定発効から4年間は内容を秘匿する「守秘契約」があるためとされます。この契約のため、政府は交渉中もその内容を公開しませんでした。秘密の交渉で合意し、その結果だけを押し付けるTPPの、他の外交交渉とも異なる著しい危険は明白です。

 しかも、「守秘契約」は、日本側の鶴岡公二首席交渉官(当時)が署名したとされていますが、契約そのものも秘密で、「守秘」の範囲がどこまでなのかさえ明らかになっていません。TPPの承認案の国会審議には、国会が決議した農産物の「主要5項目」を除外するため、日本政府がどう主張したのかが大問題になりますが、交渉のなかで日本側がどう主張したのかさえ公開されなければ、もともと審議の前提がなくなります。安倍政権はまず、「守秘契約」では何が秘密で何が秘密でないのかぐらいは、直ちに公開すべきです。

 「守秘契約」の内容も、日本政府が交渉で何を主張したのかさえ公表せず、「交渉の詳細を明らかにすることは合意に違反する」と言い立てて、結果についてだけ判断を求めるというのはまさに暴論です。それこそ強権・独裁政治に道を開くことになります。

協定承認案の撤回こそ

 安倍政権がTPPの交渉経過を秘密の範囲さえ明らかにしないで公表せず、しゃにむに国会承認を急いでいるのは、TPPの道理のなさをいよいよ浮き彫りにするものです。

 もともと農業をはじめ国内の経済と国民の暮らしを破壊するTPPを強行する道理はありません。交渉経過など審議の前提さえ明らかにできないなら、安倍政権はTPPの承認案を撤回すべきです。


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