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2016年4月13日(水)

主張

「口利き」強制捜査

甘利氏の国会での説明免れぬ

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 安倍晋三政権で重要閣僚を歴任し、国会で承認案の審議が始まった環太平洋連携協定(TPP)の交渉でも中心的な役割を果たした甘利明・前経済再生担当相が、千葉県内の建設会社(薩摩興業)と都市再生機構(UR)の補償交渉を「口利き」した疑惑で、東京地検特捜部が先週末、強制捜査に乗り出しました。甘利氏は1月末に経済再生担当相を辞任した後、「説明責任を果たす」といいながら病気を理由に国会を欠席し、疑惑を解明していません。国会議員として国民の前に真実を明らかにするのは司法の捜査とは別問題であり、甘利氏の説明責任は免れません。

疑惑解明は議員の責任

 衆議院の政治倫理綱領は、国会議員に国民から国政に関する権能を信託された代表であることの「自覚」を求め、疑惑をもたれた場合には、「真摯(しんし)な態度をもって疑惑を解明」し、「責任を明らかにするよう」求めています。甘利氏が長く重要閣僚を歴任した大臣や政務官についても、内閣は「公私混交を断ち、職務に関して廉潔性を保持する」よう、規範を閣議決定しています。

 甘利氏が請託を受けて国やその出資する機関に働きかけ、影響力を行使して報酬を受け取ったのではないかという「あっせん利得」の疑惑は、司法によって断罪される重罪であるだけでなく、国会議員や閣僚として許されないものです。司法の捜査とは別に、甘利氏が国会ですすんで深刻な疑惑にこたえるのは当然です。

 甘利氏は1月末の閣僚辞任にあたって、3年前の2013年、建設会社とURとの補償交渉がまとまった後、地元事務所の秘書が500万円受け取り、200万円は政治資金として届け出、300万円は費消、自らも大臣室で50万円受け取ったこと、その翌年になってトラブルが再発した際、建設会社から説明を受けて改めて50万円受け取り、その後秘書がたびたび建設会社とURの交渉に立ち会っていたとみられることなどを明らかにしました。しかし、甘利氏自身や秘書の「口利き」の実態や、巨額に上ったといわれる秘書への接待などの全体は「調査中」を理由に明らかにしていません。ことは国会議員の「口利き」で、URの補償交渉がゆがめられたのではないかという疑惑であり、真相を明らかにする責任は重大です。

 甘利氏は閣僚辞任の際、弁護士による調査を続け、タイミングを見て公表すると約束していました。その後体調を壊したとはいえ、2カ月以上という期間は長すぎます。調査の最終報告でなくても、だれに頼んでどんな調査をしているのか、中間報告ぐらいは可能です。

 司法の捜査が始まったことを理由にそれさえしないとなれば、甘利氏は政治家としての責任を果たす気がないということになります。甘利氏を閣僚に起用してきた安倍首相も、甘利氏に政治家としての責任を果たさせるべきです。

TPPの審議にも不可欠

 甘利氏にはTPPの交渉を担当した閣僚として、交渉の経過と結果を説明する責任もあります。甘利氏が国会で自らの疑惑を解明するのは、そのこととも不可分です。

 甘利氏がいつまでも逃げ回り、真実を語らないなら、甘利氏はもちろん安倍政権も、政治を担う資格と責任がないことを、いよいよ浮き彫りにすることになります。


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