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2016年4月9日(土)

アダムズ方式導入論

衆院選挙制度改革の問題を矮小化

小選挙区制抜本見直しこそ

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 大島理森衆院議長が与野党に求めた「衆院選挙制度改革」案で、「アダムズ方式」という定数配分方法の導入が焦点であるかのような議論になっています。しかしこれは、衆院選挙制度改革の問題を矮小(わいしょう)化するものです。

 アダムズ方式とは、各都道府県に人口比で定数配分する方式の一つで、人口の少ない県に有利とされる計算方法です。ほかにドント式、サンラグ式などの計算方法とその修正が検討されています。しかし、いずれも現行の小選挙区制をそのままにして、従来の配分方式を維持するか、それとも新たな計算方法を認めるかの議論にすぎません。

 衆院選挙制度改革の最大の問題は、相対多数党による議席の独占を許し国会が民意を反映しないという小選挙区制の害悪を直視し、その抜本是正をはかることです。

 安倍政権が多数民意すら無視して暴走し、戦争法強行で立憲主義を破壊するという深刻な政治的危機を前に、民意をゆがめる小選挙区制の抜本見直しこそ、選挙制度改革の緊急課題です。この問題を放置して、小選挙区制を前提にした定数配分方法の見直しに議論を収斂(しゅうれん)させる流れは、問題の核心を全くゆがめるものです。

格差是正ならず

 「1票の格差」是正からみても、小選挙区制を維持する限り、アダムズ方式を導入しても人口変動による投票価値の大きな格差を生み出し続けます。選挙のたびに区割りを機械的に見直すしかありません。それが現実的でないため格差是正が放置され続けてきたのです。

 アダムズ方式によると、2010年国勢調査を前提に小選挙区の「7増13減」の見直しが必要とされますが、15年国勢調査に基づけば「9増15減」となります。20年にはさらに見直しが必要となります。現職政治家・政党の利害得失などから、区割り調整がうまくいくかどうかは全くわかりません。

定数削減を前提

 しかもこれらの定数配分の変化の数字は、議員定数の10削減(小選挙区6・比例4)を前提にしています。

 しかし、日本の議員定数は人口比で先進国中最低レベルです。大島議長が「改革」案の根拠にしている議長諮問機関・衆院選挙制度調査会の「答申」でも、定数削減について「積極的理由や理論的根拠は見出し難」いと指摘しています。

 こうした定数削減論の背景には、消費税増税の「対価」として自民党などが「身を切る」改革=定数削減を「公約」してきたことがありますが、そもそも議席は既存政治家や政党の私物ではありません。その議席を削減することは、民意を切り捨てるものでしかありません。

 これ以上の定数削減は、国会本来の立法機能を害し、行政監督を難しくするなど、憲法と議会政治の機能不全をもたらすだけです。

 (中祖寅一)


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