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2016年4月5日(火)

きょうの潮流

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 国家国民のために、全身全霊でとりくんできた。TPP交渉の現場でも、この国の未来に思いをはせなかったり、国政に心を砕かなかったりした瞬間は一瞬たりともない―▼国民にそう大見えを切ったのは誰あろう、あの甘利明・前経済再生担当相です。道路建設をめぐるUR(都市再生機構)への口利き疑惑で閣僚を辞任してから2カ月。いまだ入院を理由に疑惑について説明責任を果たしていません▼TPP交渉の担当責任者だった甘利氏。本人は国益を守るために体を張ったといいますが、参加国との交渉の経過や中身は秘密のまま。安倍首相が「国家百年の計だ」というTPPの全体像も明らかにされていません▼農業だけでなく、私たちの暮らしの多岐にわたるTPP。日本農業新聞の調査では、9割超の農業者らが「不安」と答えています。影響をひた隠す政府に代わり、国会議員や市民団体が協定を分析して問題点を取り上げています▼国民の間に不安や疑問がひろがるなかで、TPPの承認案と関連法案の国会審議が始まります。安倍首相は早期発効に向けた機運を高めていくといいますが、交渉を担った人物が口を閉ざしているなかでまともな審議ができるのか▼「日本とアメリカがリードして、アジア太平洋に自由と繁栄の海を築き上げる」と持ち上げる首相。しかし誰のための自由と繁栄か。TPPの正体が明らかになるほど浮かび上がるのは、米国や多国籍企業の利益のために日本の国が壊され、国民が犠牲になる将来です。


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