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2016年4月4日(月)

笹子トンネル事故の中日本高速

維持管理業務の99% グループ会社が受注

随意契約で利益を独占

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 天井板崩落で9人が死亡した中央自動車道・笹子トンネル事故で、ずさんな維持管理が問われた中日本高速道路。同社が発注する維持管理業務の99%をグループ会社で受注していることが、日本共産党の本村伸子衆院議員の調べでわかりました。


写真

(写真)NPO法人「道路の安全性向上協議会」が事務所を置く中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋の東京分室=東京都港区高輪

 本村議員は、2010年度から14年度までの5年間に中日本が発注した維持管理業務の発注先や受注額について資料請求。笹子トンネル事故は、12年12月に起きています。

 中日本が提出した資料によると、中日本が発注した維持管理業務は総額2220億円(186件)にのぼります。

 このうちグループ会社である子会社・関連会社が受注したのは2198億円(171件)です。99%を占めます。

 笹子トンネルの点検管理を担当する中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(エンジ社)も393億円(22件)を受注しています。

 グループ会社の独占状態です。これらの維持管理業務は、中日本の文書(15年)によると、随意契約でグループ会社に発注しています。

 工事や調査業務は、入札を行い、グループ外の企業に発注しています。しかし、維持管理をグループ会社に独占させる理由について、中日本は「企業信用に直結する業務は、当社グループが自ら行うべき業務である」(同)としています。

 一方で、グループ会社同士のなれ合いがあるのも事実です。

 笹子トンネル事故で中日本とエンジ社に4億4300万円の損害賠償を命じた横浜地裁判決(15年12月)は「(補修や調査など)過去のデータを分析・検討せず、実施すべき点検を事故まで行わなかった」などと両社のずさんな点検を指摘しました。

 また、中日本から受注する6社は東京都内に事務所を置くNPO法人「道路の安全性向上協議会」の法人会員でもあります。

 このNPO法人の専務理事は、中日本の代表取締役だった吉川良一氏です。吉川氏は笹子トンネル事故が起きた12年当時、維持管理部門のトップ。事故翌年に中日本を退任し、事実上の引責辞任と報じられました。

 吉川氏は、NPO法人から報酬を得ていますが、原資は会員の大半を占める中日本グループ会社の法人会費です。吉川氏の処遇目的にNPO法人が設立された疑いもあります。

 道路公団民営化(05年)の議論では、「ファミリー企業」が問題視されました。道路公団OBが役員のファミリー企業が、高速道路の維持管理業務の大半を受注し、利益を独占してしまう問題です。

 中日本の子会社・関連会社は38社(15年時点)になります。「ファミリー企業」体質が改まったのか、なお疑問が残ります。

 (矢野昌弘)

表:維持管理を独占するグループ会社

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