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2016年3月17日(木)

主張

高校生の政治活動

憲法違反の届け出制をやめよ

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 18歳選挙権実施にかかわり、文部科学省が高校生の政治活動にさまざまな制限をつける動きを強めています。学校の恣意(しい)的な判断で政治活動を禁止できるよう通知したのに続き、学校外での活動を学校に届け出させる「届け出制」を容認する見解も示しています。高校生の思想・良心の自由を侵害するもので、許されません。

学校が支持政党の把握も

 文科省は昨年10月、国民の一員として政治活動の自由を持っている高校生の学校内外での政治活動を制限・禁止する通知を出しました。そのうえ今年1月には、より詳細な見解(「Q&A」)を出し、休日・放課後の学校外での政治活動を届け出制にすることも、学校の判断でできるとしました。すでに一部の教育委員会や学校で、生徒の政治活動を届け出制や許可制にしようという動きがあります。

 届け出制や許可制になれば街頭演説を聞くことさえ事前に届け出て許可を得ることが必要になる可能性があります。休日に家族で外出したとき政治家の街頭演説に出あい、みんなで聞いてみようとなっても、高校生の子どもだけ、「届け出をしていないから」と立ち去らなければならない。そんなおかしなことも起こりかねません。

 学校外で集会やデモにいったり、宣伝をしたり、署名を集めたりすることは、本来、憲法が保障している集会・結社・表現の自由にもとづき自由にできるはずです。しかし、いつ、どこで、どんな集会や行動に参加するのかを届け出ることになれば、結果的にどんな政治的考えを持っているか、どの政党を支持しているかなどを学校に知らせることになります。高校生は萎縮させられてしまいます。

 憲法が保障する思想・良心の自由は内面的精神的自由の中でも、もっとも根本的なものです。それは個人の思想信条を明らかにすることを、権力が強制することは許されないという内心の自由によって支えられています。生徒がどんな政治的考えを持っているかを、いやでも明らかにさせる届け出制は内心の自由を侵す重大な憲法違反です。

 文科省は、「政治活動に没頭して夜遅くまで電話やメールをして学業に影響がでる」ことなどを政治活動制限・禁止の理由にしています。寝不足で授業に支障が出ているなら、原因が政治活動かどうかにかかわらず、本人と早く寝るための話し合いをすべきことで、政治活動を禁止したり、届け出制にしたりする理由にはなりません。

 衆院文部科学委員会で、日本共産党の大平喜信議員が具体例をあげて、届け出制は憲法の保障する内心の自由を脅かすものだと追及したのに対し、馳浩文科相は憲法に反しないという根拠を示せませんでした。文科省は高校生の政治活動を抑制する通知や「Q&A」を撤回すべきです。

基本的人権を守り自由に

 文科省の通知や「Q&A」には拘束力がありません。具体的な対応は学校にゆだねられています。各学校は政治活動について届け出制など不当な規制や監視をせず、憲法や子どもの権利条約にもとづき、生徒の基本的人権を守ることが求められます。

 高校生が政治について自由に語り、行動できることは、民主主義を日本に根づかせるうえで焦眉の課題です。


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