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2016年3月11日(金)

きょうの潮流

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 「頼んだよ。おれは職場に戻る」。宮城県南三陸町の仮設住宅で暮らす内海明美さん(44)が町の職員だった夫と交わした最後の言葉でした。2人の子どもを妻にたくして緊急配備についた夫は、津波に襲われ行方不明に▼避難所で「覚悟しようね」と中学2年だった長男を抱きしめながら、いちるの望みは捨てませんでした。しかし、4カ月後の再会は悲しいものに。享年53歳。「物静かで優しい人でした。相談するといつも『好きにやっていいよ』と背中を押してくれた」▼内海さんは震災後、コミュニティー・カフェ「こもんず」を仮設店舗で開きました。避難所で知り合った子どもたちや地域の人たちの交流の場をめざす同店。本店舗の建設場所や資金繰りなど難題だらけですが、「生かされた命、しっかり前を向いて生きていきたい」▼「3・11」から5年。家族や家財を失いながら必死で立ち上がろうとする多くの被災者がいます。取材で出会った漁師さんやラーメン屋さんが少しずつ前に進んでいる姿は、わがことのようにうれしい▼しかし、再建が順調でない人も少なくありません。8回目となる本紙「被災者300人実態調査」では、8割の自営業者が再建困難と回答。仮設住宅から抜け出せる展望のない人も多数います▼取材中に思わず涙がこぼれそうになる厳しい現実を聞くたびに痛感します。現状打開のために少しでも役に立つ記事をもっともっと書かなければと。「被災者に心を寄せる」。「赤旗」震災報道の原点にたって。


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