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2016年2月24日(水)

きょうの潮流

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 4年後のオリンピックに向けて準備を急ぐ東京。じつは戦前にも五輪の開催地になった歴史があります。“幻のオリンピック”といわれた1940年の第12回大会です▼当時の日本はこの年が「皇紀2600年」に当たることから大々的な国家行事に。しかし、みずから戦争を広げていったことで大会を返上しました。平和の祭典とは相反する侵略に突き進んでいったのですから、当然の帰結でしょう▼五輪を目指した選手たちも振り回されました。その中にランナーとして東京の地に立つことを目標にしながら、捕虜として連れてこられた米国の陸上選手がいます。2年前、97歳で亡くなったルイ・ザンペリーニさんです▼36年のベルリン五輪で一躍注目されたルイさんは戦争によって軍用機の爆撃手に駆り出されます。太平洋への墜落、47日間におよんだ漂流、捕虜収容所での虐待…。何度も死の恐怖に直面しながら生き抜いてきました▼上映中の「不屈の男 アンブロークン」は彼の生涯を描きます。監督で俳優のアンジェリーナ・ジョリーさんは「極限状態でも折れない人間の尊厳をみてほしい」と。この映画は一部から「反日」と非難され、国内の配給が遅れました▼日本軍による捕虜の虐殺や虐待は数々の資料で明らかです。それを攻撃し、上映を妨げる不寛容さ。不穏な空気は表現の自由や知る権利を抑えつけようとする政権の動きと重なります。映画は最後に復讐(ふくしゅう)よりも赦(ゆる)しを選んだ主人公の姿を。いつか来た道をたどらせまい、と。


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