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2016年2月18日(木)

きょうの潮流

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 おととし93歳の生を全うした作家の清川妙さんは、人生の喜びを感じながら日々を楽しく過ごす達人でした。〈生ける者遂(つい)にも死ぬる者にあればこの世なる間(ま)は楽しくをあらな〉▼人はついには死んでしまうものだから、命ある間は楽しもう。清川さんのお気に入りだった大伴旅人(たびと)の歌です。年を重ねても生を喜び、自分らしく過ごしたい。だれもが願う人生が終えんに向かうとき、支えてくれるはずだった人の手によって無残に命を絶たれるとは▼川崎市の有料老人ホームで3人の入所者がベランダから相次いで転落した事件で元職員が逮捕されました。23歳の容疑者は投げ落としたことを認めるとともに、介護の仕事へのストレスや不満を口にしているといいます▼殺害にまで至るケースは特異だとしても、介護施設での虐待は増加の一途をたどっています。14年度に確認された虐待は300件と過去最多。背景には慢性的な人手不足にあえぐ介護現場の深刻な実態が浮かびます▼「資質を見極める余裕はない」。事業所からはこんな声も。経験未熟な職員に過度の負担を強いたり、利用者や職員同士の緊密な連携を欠く施設もあります。「介護離職ゼロ」を掲げながら、自己負担を引き上げ、介護報酬を引き下げた安倍政権の逆行した姿勢も現場を痛めつけています▼悲劇をくり返さないためにも、老いていくことが怖くなる社会から、安心して人生を全うできる社会へ。清川さんがかみしめた存命の喜び。それを、人ごとにしてはいけません。


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