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2016年2月5日(金)

TPP 多国籍企業の利益が第一

経済主権を売り渡す

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 日米など12カ国が4日署名した環太平洋連携協定(TPP)は、日本の国民の利益と経済主権を米国や多国籍企業に売り渡すものです。多国籍企業の利益のために、関税・非関税障壁を除去し、規制を緩和・撤廃し、制度を共通にすることを目指します。

関税全廃も

 関税を撤廃したことのない農林水産物834品目の約半数で関税を撤廃します。農林水産物全品目の95%の関税がなくなります。コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の重要農産物も、3割の品目の関税を撤廃。関税が残っていても、コメで特別輸入枠を新設し、牛肉・豚肉で関税を大幅に削減します。

 他の類似の協定が重要農産物を除外しているのに対し、TPPには除外がありません。発効後7年以降、米国など5カ国のいずれかが要請すれば、日本の関税などを協議。長期的には農産物の関税が全廃される恐れがあります。

 投資の章に盛り込まれた投資家対国家紛争解決(ISDS)条項は、進出先の制度や政策の変更で損害を受けたと主張する外国企業が、その国を相手取って損害賠償の訴えを起こせる規定です。将来にわたって、必要な規制の導入を妨害し、国家の主権を侵害する恐れがあります。

 日本政府も外国企業に訴えられる可能性があり、政府資料も次のように認めています。「仮に、既存の投資協定等に基づいて訴訟が提起され、わが国が敗訴した場合には、TPP協定発効後には訴訟経験の豊富な外国企業等による更なる訴訟を招く可能性もある」

 知的財産の章に盛り込まれたバイオ新薬のデータ保護期間は、米国などの製薬大企業の要求を反映。データ保護期間が長いほど、安価なジェネリック医薬品(後発医薬品)の市販を遅らせ、高値での独占販売を続けられるからです。ジェネリック医薬品の普及で医療費を抑えたい諸国が5年間を主張したのに対し、日米が実質8年間で押し切りました。

米国に追従

 TPP交渉と並行して、日本と米国の交渉も行われました。日本のTPP交渉参加を認める見返りに、米国が押し付けました。自動車のほか、保険、投資など9分野で非関税障壁について交渉し、結果をTPPにも組み込むとされました。

 投資分野では、日本の「規制改革」について、米国企業の意見や提言を政府の規制改革会議に付託し、規制改革会議の提言に従って必要な措置をとることを約束しました。

 衛生植物検疫(SPS)の分野では、収穫前と収穫後の防カビ剤の承認を簡素化するとしました。食品添加物については、日本政府がまだ承認していない4種の添加物を原則1年以内に承認すると約束しました。


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