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2016年2月3日(水)

主張

子どもの貧困対策

抜本的な政策転換が急務だ

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 貧困と格差がいっそう拡大しているなかで、貧困打開に真剣に向き合わない安倍晋三政権の姿勢が浮き彫りになっています。社会問題になっている子どもの貧困についても、安倍政権の対策は一人親世帯への経済的支援の一部強化などにとどまり、根本的な打開策を打ち出していません。3年前の国会では、生まれ育った環境で子どもの将来を左右させてはならないと「子どもの貧困対策法」が全会一致で成立しています。子どもの貧困解決へ国の責務などをうたった同法にてらしても、安倍政権の姿勢はきわめて問題です。

悪化の一途の「貧困率」

 親の失業や低収入、病気、離婚、死別など家庭の経済状況の悪化でもたらされる子どもの貧困は、日本では年々深刻になっています。

 国の貧困の実態を示す国際的な指標に「相対的貧困率」があります。可処分所得などをもとに、生活が支えられるぎりぎりの「貧困ライン」を計算し、それ以下の所得しかない人の割合を示す数値です。日本政府は2009年に初めて公式に相対的貧困率を発表しましたが、「子どもの貧困率」(06年)は14・2%、約7人に1人でした。当時、経済協力開発機構(OECD)諸国のなかでも最悪水準に位置しているとして大問題となりました。その後も悪化傾向を続け、昨年発表された最新数値(12年)では子どもの貧困率は、16・3%、約6人に1人へ拡大しています。事態をここまで深刻化させた歴代政権の責任が、改めて問われます。

 国民全体の貧困率そのものが悪化しており、貧困解決は社会全体の課題であることは当然ですが、貧困を次世代に連鎖させないという点で、子どもの貧困打開は待ったなしの課題として政治に迫られていることは明らかです。

 貧困問題解決に取り組む市民らの運動を背景に、13年に成立した「子どもの貧困対策法」は、事態打開の第一歩となる法律です。貧困の基本概念の定義をしていないなど不十分さはありますが、「貧困の状況にある子どもが健やかに育成される」環境整備や「教育の機会均等を図る」ことを目的に掲げ、子どもの貧困対策の総合的な策定、実施にたいする国・地方自治体の責務などを明記しています。

 ところが安倍政権は、同法の具体化にすら真剣に取り組んでいません。法律が政府に作成を義務付けた「対策大綱」の閣議決定(14年)は大幅に遅れたうえ、その中身も実効性が乏しい従来型です。

 関係者が強く求めた貧困率削減の「数値目標」の設定はされず、世界の多くの国が採用している返済不要の「給付制奨学金」導入も見送られました。こんな後ろ向きの姿勢では、事態を打開することはできません。「1億総活躍社会」対策のなかで一人親世帯支援を盛り込みましたが、不十分な中身です。実効性ある「子どもの貧困対策」をつくるためにも「大綱」の見直し、再検討も必要です。

暮らし破壊加速をやめよ

 安倍政権は発足以来、子どもの多い世帯ほど打撃となる生活保護費削減などを強行してきました。労働者派遣法改悪などの雇用破壊は、親の低賃金・不安定雇用を加速させ、子どもの貧困を拡大させる逆行です。貧困と格差を広げる安倍政治の大本をただし、国民の暮らしを最優先にした経済政策への転換が急がれます。


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