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2016年1月26日(火)

主張

安倍首相改憲発言

中身示さず“毒”食わせるのか

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 安倍晋三首相の明文改憲を目指す発言がエスカレートしています。21日の国会答弁では、「いよいよどの条項を改正すべきかという現実的な段階に移ってきた」と述べました。22日の施政方針演説では改憲について「逃げることなく堂々と答えを出していく」とまで主張しました。戦争法の強行でこれまでの憲法解釈を乱暴に踏みにじったうえ、明文改憲も目指す異常な執念です。首相は緊急事態条項の創設も「重要な課題」などというだけで改憲の具体的内容を示していません。改憲をあおるだけで中身も示さずひたすら押し付けようというのは姑息(こそく)な態度です。

緊急事態条項を念頭に

 首相はすでに昨年末から今年初めにかけて繰り返し改憲の必要性やその強行の意向を口にしており、年頭のNHK番組では自民、公明の与党とともに改憲に熱心なおおさか維新の会などを念頭に、この夏の参院選で改憲の発議に必要な3分の2の議席を目指すことまで明らかにしています。

 特徴的なのはそこまで言いながら憲法のどこをどう変えるのかについては、国民的な議論を進めるなどというだけで明示していないことです。聞かれれば緊急事態条項の創設が重要な課題だと答えたりもしていますが、自ら改憲の具体的な項目をすすんで明らかにすることはありません。それは改憲勢力が強く求めている憲法9条の改定などの本音を隠すとともに、改憲強行の突破口をめぐっても、自民党は緊急事態条項の創設など、公明党は環境権などの加憲、おおさか維新は統治機構改革などとまとまっておらず、参院選前に改憲勢力の足並みの乱れを避けるためだと指摘されています。

 しかし国民には改憲への議論を求め、参院選では改憲発議に必要な議席を目指すといいながら、改憲の中身を示さないのはあまりに無責任です。首相が施政方針演説で口にした「逃げずに結論を出す」というのとも全く正反対の態度です。首相が改憲の中身を語らないのは、危険な中身が知られ、国民の批判が高まるのを恐れるからとしか言いようがありません。

 実際、自民党が野党時代にまとめた改憲案(「日本国憲法改正草案」)は、前文を含め憲法全体を書き改め、自衛隊を「国防軍」と明記したり、集団的自衛権を含む自衛権の行使を認めたりし、国民に対しては「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚」するよう求めたりというとんでもない内容です。憲法で政府の活動を縛る立憲主義も、憲法の平和主義、民主主義も全面的に破壊するものです。

 自民党が持ち出してきている緊急事態条項の創設もこの改憲案に盛り込まれているもので、有事(=戦時)や大規模自然災害の際に、首相に権限を集中し、国会審議などの手続きを省略して国民の権利を制限する、文字通りの戒厳令の復活です。安倍首相が、国民の反発を恐れるのも当然です。

白紙委任は危険極まる

 安倍首相が改憲の中身も示さず改憲をあおりたて、参院選で改憲勢力が3分の2を獲得することになれば、それこそ改憲の白紙委任状を安倍政権に与えることにもなりかねません。

 憲法制定以来70年近く憲法を守り抜いてきた国民は、そうやすやすと安倍首相のもくろみを許しません。国民のたたかいが重要です。


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