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2016年1月12日(火)

きょうの潮流

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 古くからの干し柿の産地である山形の一地方では、柿の実を全部取らず猿のために幾つかを木に残しておく風習があると聞きました。人と猿が共存する懐かしい山里の風景です▼申(さる)年を迎え、猿の民話を読んでみました。「猿かに」に代表される、悪賢くて怠け者の猿が最後は懲らしめられるという型が一つ。餅をついている家を見かけた猿が、カエルに赤ん坊の泣き声をまねさせて、家人が様子を見に行った隙に餅を盗み、カエルには分けずに独り占めしようとして失敗し痛い目にあうといった話は、形を変えて全国にあります▼猿が人間から受けた恩に報いる型も多く見られます。カニに足をはさまれて苦しんでいるところを助けられた猿が、美酒の湧き出る山奥の大岩を教える大分県の民話「猿酒」など、命を助けられたり親切にされたりした猿が食べ物や富を授けます▼不憫(ふびん)なのは、各地に伝わる「猿婿入り」。娘を嫁にもらう約束で田に水を張って老人を助けた猿が、結婚して里帰りの途上、娘の策略で谷川に落とされます。落ちながらも、自分の命より娘の今後を心配する猿が哀れです▼猿に託して語られてきたのは、協同して働く尊さ、他者へのいたわりの大切さ、動物や植物も含めて共同体を構成する多様な者たちの受容でしょうか▼本紙の新春対談で作家の高橋源一郎さんは「弱い人をはじめ(略)、まだ生まれていない人や死んだ人の声にも耳を澄ませるのが民主主義だ」と。民話の猿もまた、私たちに何かを語りかけています。


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