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2015年12月16日(水)

主張

国連の核廃絶決議

いまこそ「実効力ある措置」へ

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 第70回国連総会は7日の本会議で、核兵器廃絶を求める決議などを採択しました。会議では、核軍縮について複数の決議が採択されましたが、「核兵器のない世界」を求める国々に、核保有国などは激しく対立・反発し、たたかいは新たな段階へすすみつつあります。

核兵器禁止を焦点に

 焦点の一つは、核兵器を違法な兵器として禁止するか、どうかです。総会では、核兵器を非人道的兵器として禁止し、廃絶することを求める決議「核兵器の人道的結果」が初めて採択されました。核兵器の非人道性を告発する動きは2012年に16カ国の共同声明から始まり、今年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では、加盟国の8割をこえる159カ国が賛同するなど、核保有国を追いつめる大きな流れとなっています。

 さらにオーストリア政府が主導した「核兵器の禁止と廃絶のための人道の誓い」など、「核兵器のない世界」への法的措置を求める決議も新たに採択されました。法的措置を議論する「作業部会」を求める決議「核兵器廃絶の多国間交渉の前進」も138カ国が賛成し採択されました。核兵器禁止の条約も法的措置の一つです。核兵器を禁止し、廃絶する条約の交渉を求める決議は、加盟国の70%をこえる圧倒的多数で採択されています。

 こうした動きに核保有国は、いままで以上に強く反発しています。米英仏中ロは初めて足並みをそろえて、人道的議論を「安全保障の観点を無視して、核軍縮をすすめようとするものだ」(5カ国共同声明)と非難しました。核保有国が恐れているのは、核兵器を「悪」と認めれば、その禁止は当然とされ、ただちに廃絶に進まなければならないからです。核保有国は、多数の声で核兵器禁止条約へと話がすすむことに強く反対し、「ステップ・バイ・ステップのアプローチが唯一の実際的な選択肢だ」(同共同声明)とも主張しています。

 しかし「核兵器のない世界」に向けて、まともな一歩(ステップ)すら踏み出せていないもとで、「われわれは、他国(核保有国)とは違い、やると言ったことを確実にやる」(メキシコ)、「これ以上の停滞は許されない」(南アフリカ)と厳しい批判が集中したのは当然です。

 総会では地域紛争やテロなどが深刻化するなか新たな核の脅威も指摘されました。核破局の危険を根絶するため「核抑止力」論をのりこえ実効力ある措置に踏み出せるかどうかがいま問われています。

 ところが日本政府は核兵器禁止条約、「人道の誓い」や「作業部会」のいずれの決議にも棄権しました。政府は核保有国と非核保有国との「橋渡し」をすると言ってきましたが、その破たんは明瞭です。日本政府は、核保有国に迫る流れに合流し、被爆国にふさわしい行動をとるべきときです。

世論と運動が決定的

 核保有国を追いつめてきた根本の力は、被爆者を先頭とする運動です。国連総会でも「われわれの理解を広げ、深めてくれた市民社会」の「果たした役割に敬意を表したい」(アイルランド)など、その役割が高く評価されました。日本の運動が国際政治との協力をさらに発展させ、被爆国の政府に責任ある役割を果たさせていくことが求められています。


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