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2015年12月4日(金)

杭打ち偽装 国の責任 免れぬ

本村・辰巳両議員追及

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 3日の衆参両院の国土交通委員会で行われた日本共産党の本村伸子衆院議員と、辰巳孝太郎参院議員の杭(くい)打ちデータ偽装をめぐる国会論戦―。まん延する偽装とその背景にある構造的問題、元請けの責任、効率優先の規制緩和など国の責任問題が浮かびあがってきました。 (遠藤寿人、中東久直)


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(写真)傾きが見つかったマンションの渡り廊下=横浜市都筑区

多重下請け構造の是正を

「丸投げ」

 本村氏は、杭打ちデータ偽装が常態化されまん延化していたことを放置してきた責任をどう感じるのか、国交省の姿勢をただしました。石井啓一国交相は、旭化成建材や業界団体コンクリートパイル建設技術協会のデータ偽装の調査報告から「複数の会社、複数の担当者が(偽装に)関わっていた。業界で広くデータ流用が行われていたといわざるを得ない。再発防止に努めたい」と述べました。

 本村氏は問題の背景に建設業界全体にまん延する「重層的な下請け構造」があることを指摘。「施工の管理責任をあいまいにしがちだ」として、日本建設業連合会が「2次下請けまで」の簡素化をめざしていることを紹介しました。

 日本共産党が下請け業者への「丸投げ」の禁止、不当な買いたたき、低価格発注をやめさせる提案をしてきたことを紹介。石井国交相は「いきすぎた重層的下請けにさまざまな弊害があることは承知している」と問題を認めました。

 本村氏は「杭打ち業者の大半は元請けではなく2次、3次、4次とみられ、売り主や元請けの意向に大きな影響を受けやすい。業界特有の多重下請け構造が根底にある」として是正を求めました。

住宅検査官制度をつくれ

企業任せ

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(写真)国交省と議論する党くい打ち工事偽装問題対策チームの(向こう側左から)穀田恵二、本村、辰巳、畑野君枝各議員=11月18日、国会内

 本村氏は、工事全体の管理・監督責任がある元請け企業の責任について質問。国交省は「元請けの建設会社の建設業法上の位置づけは下請けに対する指導、施工体制台帳および施工体系図の作成。監理技術者の設置の義務を負っている、工事全体の責任を元請け企業は負っている」と答えました。

 1次下請けの日立ハイテクノロジーズについては、中間利益だけを得た「丸投げ」の疑いを指摘。国交省は「建設業法に基づいて厳正な調査を行っている。現時点での具体的な答弁は差し控える」としました。

 現場での立ち会いを重視しながらプロセス管理を強化すべきとの意見もあることから本村氏は、「第三者によるチェック体制が必要だ」とただしました。

 愛知県での聞き取り調査で中間検査のとき書類に「適」と書いてあったら、電流計データの確認は行わないといっていたことを紹介し、基礎杭は書類だけの確認かと質問。

 国交省は「中間検査のときには基礎杭工事は終了している。終了したものも含めて全体の建築基準法の適用性を確認するには施工記録や施工結果報告書の書類を確認することによっておこなっている」とチェックが及ばないことを認めました。

 本村氏は、「建設会社は不正はしない」との前提で、企業任せでは見抜けないとして、第三者が工事現場で立ち会って監視するチェックの必要性を求め、日本弁護士連合会が提唱する公的な「住宅検査官制度」が必要ではないかと迫りました。

規制緩和 検証・総括せよ

工法問題

 辰巳氏は「(当該マンションの)杭打ち『工法』が適切だったのか、検証が必要だ」と指摘しました。

 横浜市のマンションの杭打ちで使われたのは、旭化成建材が開発した「ダイナウィング工法」。杭先端にコンクリート塊を造成し、支持力を高める「プレボーリング拡大根固め工法」です。同社によれば、発生残土を従来より大幅に低減でき、高支持力を得られるというもの。

 辰巳氏は「この工法は大臣認定を受けているが、それは(杭先端地盤が)砂質地盤と、れき質地盤に限られる。横浜のマンションは粘土質地盤でも特殊な土丹(どたん)(固く締まった粘土層)。なぜ、わざわざ認定工法以外のものを採用したのか」と質問。国交省は「横浜市と一緒に、(元請けなどを)ヒアリングしているが、総合的に判断したとしている」と答弁。辰巳氏は「つまり杭の本数を減らし、残土量を大幅に減らせるからだ」と指摘しました。

 公益社団法人土木学会が行ったアンケート調査で、「プレボーリング工法既製コンクリート杭の約半数は土丹では施工不可能」などとしていることを紹介し、辰巳氏は「(三つの地盤で)大臣認定を受けているプレボーリング拡大根固め工法は14あり、土丹について大丈夫なのか検証がいる」と追及しました。

 辰巳氏は、効率優先の規制緩和が繰り返されてきた問題点を指摘し、「国民が安心して安全な住居に住めるために、行政が果たさなければならない責任は大きいが、それを放棄してきたのではないか。検証と総括が求められている」と強調しました。


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