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2015年11月8日(日)

きょうの潮流

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 疾風を巻き起こす風神、雷鳴を鳴り響かせる雷神。屏風の左右に対峙(たいじ)して描かれた2神の躍動的かつ親しみのある様は、小宇宙にいるような、えも言われぬ感動と、やすらぎを与えてくれます▼京都国立博物館で開催中の「琳派(りんぱ)誕生四〇〇年記念特別展覧会」。国宝の俵屋宗達(そうたつ)作をはじめ尾形光琳(こうりん)、酒井抱一(ほういつ)作と3作の「風神雷神図屏風」が一堂に▼光琳の名に由来する「琳派」ですが、始まりは光琳生誕(1658年)より前の1615年。本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)が徳川家康から京都に土地を拝領し、工芸村を開きました。その光悦と刺激しあって才能を花開かせたのが宗達です▼琳派は血縁や師弟関係を持ちません。尊敬できる先達を自ら探し“私淑”します。「風神雷神図」も宗達の作を約100年後に光琳が、自らの創意を加えながら模倣し、さらに約100年後に抱一が挑戦しました▼武家社会において権力や権威に拘泥せず、美を探求しようとした琳派。光琳が江戸にいた当時に友人に送った手紙では、大名仕えの窮屈さを嘆き、貧しくとも心を楽に暮らしたいと訴えています。実際その後、生まれ故郷の京都に戻りました▼展覧会は大盛況。権力に媚(こ)びず自由を求めた精神が、なにかとストレスが多い現代人の共感を呼んでいるのかも。今の日本では、自由や芸術とは対極、“権力の権化”のような首相が不安の渦をかきたてているのですから。もっともこの暗雲は、国民の共同という風神、雷神の威力で吹き飛ばされようとしていますが。


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