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2015年11月7日(土)

主張

マイナンバー混乱

このままの本格運用は危険だ

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 日本国内に住民登録している人全員に12桁の番号を割り振り、国が情報を一元管理する「マイナンバー(社会保障・税番号)」が施行され、10月末から住民に番号を通知するカードの郵送が始まっています。配達間違いなどの事故が相次ぐ一方、住民が希望してないのに自治体がマイナンバーを住民票に記載したりするなどのミスも起きています。厳重管理が必要な個人のプライバシーを扱う仕組みなのに、始動したとたんにトラブル続きでは国民の不安は募るばかりです。来年1月からの本格運用に突き進むのはあまりに危険です。

国民の不安への配慮なく

 マイナンバーは、赤ちゃんからお年寄りまで外国人も含め日本に住民登録している人に1人残らず番号をつけ、納税や社会保障の行政手続きなどで利用させる仕組みです。戸籍・収入など大量の個人情報を結び付けることが可能なマイナンバーには、情報の漏えい、国による国民監視の強化などに国民の疑念は消えていません。

 制度を始めるには1億2000万人以上の全対象者に番号を通知することが必要です。そのため約5500万世帯に簡易書留で通知カードを郵送する、日本の郵便史上で例のない膨大な作業が10月23日から順次開始されました。早くも、違う世帯に配達したり、一時紛失したりする事故が発生しています。今後人口が多い自治体での郵送が本格化するなか誤配達の増加を危ぐする声が上がっています。

 自治体窓口でマイナンバーを間違って発行したケースは10市区町村以上あります。第三者の手に渡った事例もありました。マイナンバーの仕組み自体が、ちょっとした操作ミスによって容易に他人に番号を知られるリスクと一体であることを浮き彫りにしています。

 さらに重大なのは、自分の番号を受け取れることすらできない人が多発する恐れがあることです。政府は11月中に通知カードが届き終わるかのような日程を描きますが、そんな保証はまったくありません。住民票を動かさずに高齢者の施設に入居している人、震災の避難者、家庭内暴力から逃れている被害者などで必要な手続きをしている人以外のところには届きません。自治体によっては住民の1〜2割に届かないと頭を痛めているところもあります。制度が始まっても自分の番号すら知ることができない人が多数生まれることは、きわめて深刻な矛盾です。

 職場に提示が求められることもある通知カードに性別記載があることに、心と体の性が異なる性同一性障害の人たちからは「職場にいられなくなる」と不安が上がっています。通知カードが点字表記でないため1人暮らしの視覚障害者らは「だれに番号を教えてもらえばいいのか」と困惑しています。多様な国民の実情を無視し、一方的に番号を割り振るやり方の、どこが「国民の利便性向上」なのか。乱暴な推進はやめるべきです。

中止こそが国民の利益

 大企業などは数兆円規模のマイナンバー市場に沸き立っています。厚生労働省の担当職員が収賄で逮捕されたことは、マイナンバーが利権・癒着まみれである実態も示しています。大企業のもうけのために個人のプライバシーを危機にさらすなど、国民に不利益をもたらすマイナンバーは凍結・中止することが必要です。


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