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2015年10月26日(月)

リニア新幹線問題 考えるつどい

名古屋で共産党主催

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 日本共産党が名古屋市で開いた「リニア中央新幹線問題を考えるつどい」。リニアに賛成だったという人など会場は開会前に満杯となりました。9兆円を超える巨大開発を告発し、安倍政権の暴走から自然と生活環境を守る共同を語り合いました。


写真

(写真)質問が相次いだ「リニア中央新幹線問題」を考えるつどい=24日、名古屋市

赤字必至“負の遺産”に

専門家警鐘 技術・安全は未確立

 「経済・採算性、技術・安全性、環境保全のどれをとっても時代遅れになっている。目的もクルクル変わり、“四面楚歌”です」。シンポジウムでこう批判したのは千葉商科大学大学院元教授の橋山禮治郎さん。

目的も必要もない

 リニア計画について▽人口減で需要が増える見込みがなく、必要性がない▽原発20基分もの巨額投資で赤字は必至▽路線の86%がトンネルで工事リスクが高く、自然環境を破壊▽物資輸送力はゼロで災害時の代替輸送にならない▽東京―名古屋(大阪)間だけを結ぶため、東京一極集中がさらに進み、地方がもっとさびれる―と数々の問題に言及。目的も必要性もないと批判しました。

 橋山氏はさらに、東京湾横断道、核燃料サイクルなど巨大事業の数々の失敗をあげ、「失敗の代価は国民におよび、負の遺産になる。国民の幸せになるのか考え直すべきです。ドイツは中止しました。日本でも政治が決断すべきです」と強調しました。

トンネルに活断層

 自然保護協会の辻村千尋さん(自然保護部保護室主任)は、地震を引き起こす活断層を貫くトンネル工事にふれ、走らせることは危険極まりないと提起。「活断層について環境評価で問題視していないのは根拠がない。安全性を評価し直すべきです」と語りました。

 「景観がなくなることは歴史がなくなること」という言葉を紹介し、「景観をなくせば文化や暮らしは途絶える。自然をこれ以上壊してはいけない」と力を込めました。

残土処理は未解決

 科学技術の視点から告発したのは、日本科学者会議リニア研究連絡委員会代表の長田好弘さん。

 リニア実験線の調査などをふまえ、「技術的に一番のネックは、(路線上に)数十万個を敷き詰めるため電気を一番食う地上コイルだ」と強調。「時速500キロメートルを維持するため、どれだけ保守・管理の労力がかかるか」と指摘しました。

 残土処理など未解決の問題だらけで、「技術・信頼性・安全性が確保されておらず、環境破壊もはかりしれない。中止・撤退する以外にない」と語りました。

自然・生活環境壊すな

住民ら切実 騒音・陥没の危険

 「つどい」2部では沿線住民や議員、専門家が発言しました。

 「先祖から営々と営んできた稲作農家が何でこんなリスクを負わされるのか」

 住民の怒りを紹介したのは岐阜県恵那市の水野功教・共産党市議。自治会が「防音壁でなく全体を覆うフードに」と要求してもJR東海は応えていません。「市民とともに計画を止めたい」と語りました。

 山梨県南アルプス市では二つの自治会が反対決議をあげ、9割の世帯が反対署名を集めています。高架橋の両側100メートルの緩衝帯を求めましたが、納得いく回答がなく説明会も拒否。名取泰市議は、「大義がない計画で生活が壊されることに住民は怒っている。力を合わせ撤回を求めていきたい」と述べました。

観光地は死活問題

 「観光地にとって死活問題だ」との声があがる長野県南木曽町。坂本満町議は「町はデメリットが大きく住民のリスクを減らすため協定書も必要だと話している。観光地、生活環境を守るたたかいを広げていく」と語りました。

 「“いやなら引っ越しすれば”と立ち退きを求められた住民もいる」。リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会と沿線住民ネットワーク共同代表の天野捷一さんは「JR東海は市民の疑問、首長の意見を無視しており、ごう慢だ」と批判しました。

 JR東海の労働者も発言。国労東海本部の木股昭一さんは、利用者アンケートで建設に否定的意見が約8割にのぼり、高収益は在来線の改善や運賃値下げに使うべきだとの意見があったとのべ、利用者との共同を広げようとのべました。

環境アセスずさん

 ストップ・リニア訴訟弁護団の関島保雄弁護士は、「アセス(環境影響評価)を3年で一気に通し、中身もずさん」と批判。リニア新幹線を考える静岡県民ネットワーク共同代表の林克さんは、「高さ50メートル、1キロもの残土置き場をつくり、運搬用トンネルも引く。自然環境を壊し、崩壊の危険もある。環境アセスをやり直すべきだ」とのべました。

 愛知県の春日井リニア新幹線を問う会の川本正彦事務局長は、「市内に亜炭鉱跡がある。工事で地下水脈が変わって地下水が抜け、陥没する不安が広がっている」と発言。「道路騒音はすでに環境基準を超えているのに多くの工事車両など認められない」とのべました。

 東京江戸川区のスーパー堤防問題を考える協議会座長の堀達雄さんは、建設残土の行き先候補になっていると報告し、住民生活を壊す開発を共同で阻止したいとのべました。

一点共闘で阻止を

 神奈川のリニア新幹線を考える相模原連絡会の建部由美子さんは、市民が「嫌なものは嫌だ」と声を上げるなど意識が変わってきたと発言。「安倍政治への怒りが広がっている。リニアも加えてたたかっていこう」とのべました。

 閉会あいさつで藤野保史衆院議員は「必要性がなく環境破壊など許容性もないことがはっきりしました。国会でも地域でも一点共闘を広げて阻止しましょう」と訴えました。


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