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2015年10月23日(金)

きょうの潮流

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 人文学とは何か。安倍政権の国立大学人文系学部縮小・廃止方針を受け、東京大学文学部は17日、シンポジウム「文学部がひらく新しい知」を開きました▼政府がかつてなく露骨に高等教育に介入し、国家統制を強めていることへの危機感が語られ、「持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学」の強制に対して、実用性を超えた人文学の価値を提示しました▼西洋史学の橋場弦東大教授は「歴史学の軽視は歴史修正主義をもたらす」と警告。15年戦争の遂行に利用された皇国史観を振り返り、こうあってほしいという過去を捏造(ねつぞう)した言説は「歴史」ではなく「神話」であり、既存の権力秩序の再強化を図る語りだと指摘しました▼『戦史』を著した古代ギリシャの歴史家ツキジデスが序言で、この記録はおもしろくないかもしれないが、人類が過去に犯した罪を再び犯さないために書いたと述べていることを紹介。歴史学本来の姿を示唆しました▼熊野純彦東大文学部長は、資本が市場拡大をめざし、商品の移動時間を最小限に縮減した結果生じる世界の均質化を批判したマルクスの言葉「時間による空間の絶滅」を引用し、人文学は私たちの生きている空間に独自の意味と価値と記憶と歴史を取り戻すものだと説きました▼人文学が、心と言葉を持つ人間に向き合い、死者との対話によって過去を聞きとり、他者との交流を通して自らを豊かにするものであるならば、それを軽視する国にどんな未来があるのか。今、問われています。


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