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2015年10月5日(月)

主張

防衛装備庁の発足

“軍産複合体”への歩み許すな

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 防衛省と陸海空自衛隊の武器取得関係部門を集約・統合した防衛装備庁が1日発足しました。武器の輸出や国際的な共同開発・生産を推進し、米国など他国との軍事協力を深化させるとともに、日本国内の軍事産業の育成・強化を図るのが、大きな狙いの一つです。専門家から“軍産複合体”の促進につながる危険も指摘されており、憲法の平和主義を踏みにじる重大問題です。

“死の商人”の要求受け

 防衛装備庁は防衛省の外局として、武器の研究開発・取得・補給・管理などを一元的に扱います。安倍晋三政権が昨年4月に決定した「防衛装備移転三原則」に基づき、武器の輸出、国際共同開発・生産の促進も任務にします。

 「防衛装備移転三原則」は、憲法の平和主義の下で歴代政権が維持するとしてきた武器輸出禁止の基本方針(武器輸出三原則)を撤廃し、武器輸出推進の道に公然と踏み出すものでした。

 これを受け、昨年6月には防衛省が「防衛生産・技術基盤戦略」を発表し、政府を挙げて軍事生産・軍事技術の基盤を育成・強化する重要施策の一つとして、米国をはじめとする他国との武器の共同開発・生産の推進を打ち出しました。今年4月に策定された新たな「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」でも、米国との「防衛装備・技術協力」の「発展・強化」が明記されました。

 武器輸出推進への大転換の下、安倍政権は既に、米国への地対空ミサイルPAC2の部品輸出、英国との空対空ミサイルの共同研究、オーストラリアの次期潜水艦共同開発への受注競争参加などを進めています。こうした武器の輸出、国際共同開発・生産の動きは、防衛装備庁の発足によってさらに加速させられることになります。

 防衛装備庁が大学や研究機関を軍事研究に動員し、「産」「官」に「学」を加え、軍事生産・軍事技術の基盤強化を図る体制づくりを狙っていることも重大です。

 防衛省が今年度から始めた「安全保障技術研究推進制度」として、武器開発に適用可能な研究に資金提供をします。大学などを軍事研究の下請け機関に変質させ、憲法で保障された「学問の自由」を侵害するものとして許されません。

 防衛装備庁の発足に当たり、軍事産業の利益拡大のため、財界の要求が強まっていることも見過ごしにできません。

 経団連が「防衛装備庁の政策に産業界の考えを反映させる」ために発表した提言(9月15日)は、戦争法の成立による「自衛隊の国際的な役割の拡大」とそれを支える「防衛産業の役割」の高まりを指摘し、「政府の関連予算の拡充」、軍事費の一層の増額を要求しています。さらに“死の商人”として武器輸出を「国家戦略として推進すべき」だと求め、国の政策への介入姿勢をあらわにしています。

癒着構造はそのままに

 防衛装備庁は、5兆円近い軍事予算の約4割に当たる2兆円を握るとされます。同庁の発足はもともと武器の取得をめぐる数々の不祥事を発端にしていましたが、天下りを通じた防衛省・自衛隊と軍事産業の癒着構造はそのまま残されました。問題の大本には一切手を付けず、憲法の平和主義を踏みにじる施策に奔走することなど到底許されません。


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