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2015年8月29日(土)

きょうの潮流

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 紺青の空、白い大理石の観客席、前面の広場を柔らかく包む緑。まさに1枚の絵のよう。すばらしい公共空間とは、そこに人が一人しかいないときにも美しいものだ―▼世界的な建築家の槇文彦さんが、アテネのパナシナイコ競技場を訪れたときに抱いた感慨です。紀元前につくられた歴史ある施設は第1回近代オリンピックのメーンスタジアム。マラソン競技発祥の地としても知られます▼日本の新国立競技場案が発表されて以来、槇さんはパナシナイコに別の意味を感じるようになりました。それは、建設計画にかかわったアテネ市民共同体の意思と発言力の大きさ。実際、かなりの細部まで市民の意思で決められた歴史があるといいます▼二転三転した新国立競技場の新たな計画が決まりました。工費の上限は1550億円に。安倍首相は従来の案より1000億円以上削減したと得意げですが、それでも近年の五輪主会場と比べると数倍も高い▼計画では収容人数6万8千。屋根は観客席の上部のみで観客席の冷暖房はなし。陸上競技のサブトラックは徒歩圏内に仮設で。アスリート第一といいながら、いったいどんなスポーツ施設にしたいのか、基本の部分が見えてきません▼国民の批判を浴びての見直し計画ですが、何を反省して検証したのか。国立競技場は日本のスポーツ文化の発信地となる存在です。誰のため、何のための五輪なのかも定まらず、世界の信頼まで失った迷走。ここにも、民意が抜け落ちた安倍政治の反映があります。


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