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2015年7月31日(金)

海外派兵の一般的禁止 法律に根拠なし

参院特別委で井上氏追及

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写真

(写真)質問する井上哲士議員=30日、参院安保法制特委

 「総理の頭の中はどうでもいい。法律にどう定められているかどうかだ」。日本共産党の井上哲士議員は30日の参院安保法制特別委員会で、「海外派兵は一般的に禁止されている。ホルムズ海峡での機雷掃海が例外として念頭にある」という安倍晋三首相の説明が欺まんであることを追及しました。

 「法案のどこに、海外派兵の一般的な禁止を規定しているのか」。井上氏がただしたのに対し、横畠裕介内閣法制局長官は、自衛隊法88条2項などの「武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない」とした規定しかあげられず、法案のどこにも明記していないことを認めました。

 では、「必要と判断」するのは誰なのか。井上氏の追及に対し、中谷氏は「新3要件は法律にすべて明記されている。対応の判断は政府として状況を鑑みて判断する」と答弁。時の政府が「新3要件」に合致し、「必要」と判断すれば、海外派兵は無限定に拡大できることを認めました。

 井上氏は、戦争法案を取りまとめてきた礒崎陽輔首相補佐官が、「法的安定性なんて関係ない」「国際情勢の変化に伴って必要最小限度の内容が変わる」と発言したことにもふれ、「情勢が変われば『例外』も拡大する。将来の首相が例外を拡大しないという担保はどこにあるのか」と批判しました。

 また、法案で、集団的自衛権を発動する「存立危機事態」の「速やかな終結」を規定していることに関して、阪田雅裕・元内閣法制局長官が衆院特別委員会での参考人質疑で「速やかな終結とは戦争に勝つということだ。最大限の実力行使をしなければなくなる」と発言したことを紹介。集団的自衛権を行使すれば、政府が武力行使の合憲性の根拠としている「自衛のための必要最小限度」の意味が大きく変わると批判しました。

演習の実態

中東の町模した訓練場で

 「海外派兵の拡大は単なる法理上の問題ではない」。井上氏は、戦争法案を先取りして自衛隊と米軍が中東での戦闘作戦を想定した訓練を行っている実態を明らかにしました。

 訓練が行われた米カリフォルニア州の米陸軍戦闘訓練センターにあるナショナル・トレーニング・センターは、“70キロ×50キロ”という広大な砂漠地帯に五つの射撃区域、15の市街地訓練施設をもつ巨大な訓練場。中谷元・防衛相が「米軍の対抗部隊との間で、交戦訓練装置を用いた訓練を実施した」と明らかにしたように、同センターでは、銃や体にレーザー送受信器を取り付けることで弾の命中結果を判定するなど、リアルな戦場体験を訓練できます。

 しかも、雑誌『軍事研究』によれば、訓練期間中にアラブ系俳優が住民に扮(ふん)して生活し、住民に紛れたテロリスト役も配置。ゲリラ部隊、反乱勢力、犯罪分子、および正規軍と同等の部隊など、あらゆる「敵」と対決する課題が与えられました(米陸軍ニュース)。

 訓練シナリオも、「日本防衛」とはかけ離れています。設定では、仮想の国アトロピアにドノービアが侵攻、米軍と自衛隊が反撃するという集団的自衛権行使のシナリオ。さらに、自衛隊は74式戦車や96式装輪装甲車を日本から運搬して投入しました。

 一方、訓練相手となったのは米陸軍第3ストライカー戦闘旅団。同旅団は「96時間以内にどこでも展開でき」(米陸軍)、イラク戦争・アフガニスタン戦争で中東派兵を何度も経験してきた部隊です。日本側から参加の陸自富士学校部隊訓練評価隊は、対抗訓練で全国の部隊のレベル向上を把握する部隊です。

 米側幹部が「(日米が)統合任務部隊として活動する大変良い演習だった」と述べているように、陸自全体を米軍傘下に置く海外派兵仕様へと作り変える動きが進んでいます。


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