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2015年7月27日(月)

9月選挙迫るグアテマラ

大統領辞任求める市民

大規模汚職にデモ拡大

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(写真)地方都市から歩いて抗議の行進を続けてきた青年たち=25日、グアテマラ市(菅原啓撮影)

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 【グアテマラ市=菅原啓】大規模な汚職事件が発覚し、閣僚の辞任も相次ぐ中米グアテマラの首都グアテマラ市で25日、汚職の徹底追及と関係者の処罰、政治改革などを求めるデモが行われました。土曜日恒例の抗議行動はこの日で連続14回目。最初の事件発覚から3カ月、次々と新たな疑惑が浮上。9月に大統領・国会議員選挙が迫っており、市民の怒りは日に日に強まっています。

 デモの出発地点となった最高裁前には、「汚職政治家を刑務所に」などと書かれたプラカードを掲げた市民や学生らが集結。抗議の意思を示すため、地方都市から300キロ以上を1週間かけて歩き通してきた青年は、「汚職にまみれた政府を率いる大統領をやめさせ、民主主義を回復しよう。われわれの行進は終わったが、これは新たなたたかいの始まりだ」と訴え、大きな拍手と歓声を浴びました。

 数千人規模となった参加者は「オット(ペレスモリナ大統領)は辞任を。グアテマラはもうあなたを望んでいない」と唱和しながら行進。国会前では「汚職議員はすぐにやめよ」と叫びながらこぶしを突き上げました。

 税関や社会保険庁を舞台とした汚職事件は国連が支援するグアテマラ無処罰問題対策国際委員会(CICIG)が明らかにしてきました。同委員会は主要政党の国会議員の不正資金や汚職問題も調査し、主要野党である自由民主刷新党(LIDER)の副大統領候補らの疑惑も調査すべきだとの勧告を発表しています。

 国会では、金権選挙への批判が強まる中で、選挙資金上限の引き下げなどを含む選挙法の改革案が論議されていますが、その実施は来年1月以降。9月実施の大統領・国会議員選挙には適用されません。汚職の全容が未解明で、政治改革もないままの選挙実施に反対する声も高まっています。

 縫製工場の仲間2人と一緒に参加した女性アンヘラ・カトゥさん(24)は、「国会議員たちは自分たちの受け入れられるものを改革案に入れているだけ。私たちの声を聞いていない」と語り、「選挙改革を今すぐ」と書いたプラカードを高く掲げました。

 グアテマラでは、軍部と一部特権層が支配する政権と、社会変革を求める左派武装勢力との間で40年以上続いた内戦が1996年に終結。その後、選挙による政権交代はあったものの、主要政党が離合集散を繰り返す中で、外国企業・富裕層寄りの政治が継続、軍幹部や政治家がからんだ汚職構造が温存されてきました。2012年に就任したペレスモリナ大統領も元軍幹部で、内戦時代の人権侵害の追及や汚職解明には消極的とみられています。


 グアテマラの汚職事件 今年になって相次いで発覚したグアテマラの汚職は、税関や社会保険庁に絡むもの。

 税関汚職では、関税を正規額の4割に減額する代わりに、輸入業者が正規関税額の3割に相当する賄賂を当局に支払うネットワークが発覚。中心人物が副大統領の腹心で、副大統領は辞任しました。

 社会保険庁では、2014年に人工透析機の納入先を米大手企業からメキシコ企業に変更。1500万ドル超の契約額の15〜16%が賄賂として支払われたとされます。社会保険庁長官や中央銀行総裁が逮捕。その後、この会社の透析機で死者や感染症患者が続出し、契約は解除されました。


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