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2015年7月24日(金)

官製道徳を押し付け

文科省審議会 教科書検定で報告書

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 教科となる小中学校の道徳について、文部科学省の教科書図書検定調査審議会は23日、教科書の検定基準に関する報告書をまとめました。「国や郷土を愛する態度」「公共の精神」などを柱にした新学習指導要領を受けて官製道徳を盛り込むよう求めています。

 文科省は報告書をもとに9月にも検定基準を改定。教科書会社向けの学習指導要領解説はすでに公表されており、教科書に必要な指針はそろったことになります。小学校の検定は2016年度、中学校は17年度で、それぞれ2年後に検定教科書を使った授業開始をねらっています。

 改定案は、学習指導要領が示す「生命の尊厳」「伝統と文化」「情報化への対応」などの題材をすべて教材として掲載するよう求めています。

 「多面的・多角的に考えられるよう配慮」が必要とする一方、政治問題については「偏らないこと」として、政府の見解を踏まえた記述となることが必要だとしています。

 さらに検定教科書が不合格となった場合、年度内の再申請は認めないとし、検定基準にそった教科書づくりを強調しています。

 検定体制を強化するとして専門委員を増員。教科書1冊につき平均3人が担当するほか外部有識者の意見も聞くとしました。

 個人の価値観にかかわる道徳で社会科などのように専門的見地から検定意見を出せるのかとの意見が出されていましたが、報告書は「付すことができる」とし、国家が特定の価値観を押し付ける姿勢を強調しています。

解説

「戦争する国」に国民動員

 小中学校「道徳」の教科書検定基準に関する報告書は、憲法の定める思想・良心の自由に反して、国家が国民に特定の価値観を押し付ける危険性を浮き彫りにしています。

 検定基準のもとになる新学習指導要領は、「正直に明るい心で生活」(小3、4年)など成長過程を無視して特定の価値観を押し付け、既存ルールに無条件に従わせることを強調。小1から「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ」とするなど偏狭な「愛国心」や「公共の精神」を強いる危険なものです。

 報告書は、新要領で掲げた題材をすべて取り上げるよう求めるなど「官製道徳」を押し付ける姿勢をあらわにしています。政治問題も「偏ったりしない」として、歴史教科書と同様に政府の見解を踏まえるよう要求。検定方法についても、不合格になれば年度内申請は認めないとして検定基準に厳しく従わせるよう求めています。

 戦争法案など「戦争する国」に国民を動員するため、教育を利用して、国家に従順な国民をつくろうというねらいが現れています。

 しかし、戦争法案反対の世論が広がり、「子どもたちを戦場に送るな」との声が高まっています。安倍内閣による道徳教科化と検定教科書導入は、こうした願いに背くものであり、国民との矛盾を広げざるをえません。

 (深山直人)


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